番外編50 アルバート・グラス
「はぁ~………や、やっと…今日の仕事、終わった………」
俺の名は、有栖川硝。
今、俺は、上司から1日10万というとんでもない数のガラスで出来た、コップ類の梱包作業を終えたばかりである。
「おーい!追加でまだあるってよ!」
「は、はぁ?も、もう23時ですよ!?」
「そんなん知らんよ。追加があるんだから、サッサとやっちまってくんない?」
ドサッと優に50万はあるような…と5000箱以上の箱が追加で届けられたのだ。
「こ、コレ…さ、サッサとっていう量じゃないですよ…」
「だから知らんよ。じゃあな。俺はもう帰るからやっちまってくれよ」
俺だって帰りたいというのに、他に誰もいないし、俺はひたすらにするしか無かったのだ。
(あ、アレ…?)
気が付けば、俺は妙な所にいた。
つーか…何?ここ、何?作業場じゃないよな。
昼抜きの晩抜きのひたすらに梱包作業していた筈だ。
(何だか…殺風景な場所だな。というよりも人魂がうようよと浮いてる?って俺もだよ!なんで?)
う、うーん。寝る暇もないまま、朝から遅くまで梱包作業に明け暮れる日々の中で、遂に過労で死んでしまったってオチなのか?俺、まだ26になったばかりなんスけど!?
『早速だけど、ここにいるみんなー!第二の人生は、ドワーフに転生してねー!』
は、はぁ?ど、ドワーフ?
っていうか…何の意図もなくいきなりドワーフって…!?
とまぁ、特にアレコレソレドレと説明もされないまま、俺はドワーフとして転生してしまった。
「ガラス細工作業は、難しいなぁ…ってずっと思ってたけど、何か簡単なもんなんだな」
俺、有栖川硝は、ドワーフのアルバート・グラスとして転生していた。
で、ひたすらにグラスにガラス細工作業を施す腕利き職人へとなっていたのである。
「うーん。ここまで出来がいいとなると…リベルダか」
何しろ、街へと発展していると聞くあのリベルダに行ってみる価値はありそうだと思い、俺は旅に出ることにしたのだった。