番外編46 林カイト
番外編50迄掲載したら、まだまだ完結は程遠いものの、本編再開しようかどうか考え中です。
俺の名は、カイト・グランベルト
代々ラグーン王国の王家に仕え、時には魔王が編み出した魔物との戦いに明け暮れていた。
その年もまた、魔物との戦いが起きていた。
「なんで…こう魔物が…スライムがこんなにも強いんだ!?スライムって雑魚モンスターじゃなかったのかよ…」
先祖代々からスライムは、一番弱い魔物だと書に残されていた。
だというのに、並外れの力を持っているのである。
「シャッシャシャシャー!」
謎の奇声を上げながら、スライムは、俺たち貴族を中心に攻撃を仕掛けていた。
俺はただ、剣で振り落とすのが精一杯だった。
だが、余りにも数が多すぎたのだ。
次々と貴族たちの腕や足はスライムによって切断され、しまいには、頭すらない貴族の屍が転がり込んでいる始末であった。
「クッ…このままでは…!」
聖龍暦20000年半ば、俺、カイト・グランベルトは、短い生を閉じてしまったのだった。
(なんだ?ここ?俺、死んだよな…?)
良くみれば、俺以外にも屍と化した仲間の貴族がいるじゃないか!
おーい!エイル!
ふと馴染みある顔の中にいた、幼馴染みに声を掛けたつもりだった。
が、エイルは俺の声に届かないのかどうか分からないまま、何も告げられないまま、どこかへと消えてしまったのだ。
な、何だ?マジでここ…何なんだ?
『ふふ…あなた、転生したい?それとも彷徨いたい?もしくは…うふふ…』
脳裏に何だか残酷そうな声が響いた。
転生?彷徨う?それか…って何なんだ?
彷徨うとか懲り懲りだな…と俺は思った瞬間。
『転生名前は林カイト、転生種族は人間、転生日は2025年2月22日、転生先は日本にある石川県、転生特典はなし、プレゼントは1円玉』
何なんだと言いたくなりつつも、俺は、ニホンにあるというイシカワケンへと転生してしまったのだった。
まあいいさ。新たなる人生だし。
どうこうと言っても意味はないし、プレゼントは1円玉ってのはすごく気になるし。
で、その言葉を知った頃には、ガッカリした。
1円玉って…俺のいた世界では、未知のモノだ。
聞いたこともない。きっと高価あるモノだと思っていた。
が、この世界では、1円玉は1枚あった所で特にない。
せいぜい、消費税っていうモノに使う程度。
何だか転生しても、周りは魔法とか使えないし、窮屈な人生として、俺は林カイトという名で、ズルズルと過ごすことになってしまったのだった。