番外編45 ミリア・ブライト
今、ぼくは新たな職に就いていた。
今まで職場は、いわゆるブラック企業且つパワハラだったから。
今度こそ順調に上手くいくと信じていた。
何しろ、求人で以下のように書かれていたのだから。
『アットホームな職場で、和気あいあいと助け合いながら仕事が出来ます。お子様の急の熱も気兼ねなくお休みを頂くことが可能』というキャッチフレーズに惹かれ、応募した。正にその言葉通りで、周りは主婦だらけのため、良くお子様の都合で休む方は多いし、ぼくだって、独身だけど、定期的に検診に行く用事で休むことも少なくないし、周りも周りで「気にしなくていいよー。40近くになると病院は増えて来るしね」と言ってくれる方は多いのだ。
前職はもう「はぁ?知るか!そんなんで休むなんて甘え過ぎなんだよ!」とか「出血多量が30年以上も経っても治まらない激痛なら分かるけど、検診なんて甘え過ぎ!」等などとせっかく申請した休日申請をビリビリと破る、パートの主婦が多かった。作業の担当者じゃないのに、破る始末だった。家庭の都合でお休み可って書いてたのに!
で、今回の職場はホントに夢心地に浸りながら仕事していた…んだけど?
何が遭ったのだろうか?
突然の大地震。まさかと思うけど、南海ト○フ巨大地震が今、起きてるってこと!?
そんな確認する前にぼくの意識は、どこかへと行ってしまったのである。
「ふふふ…」
「ふふふふふ…」
「待ってたわ…ふふふふふ…」
何だか怪しい声がする。
で、何をされるのだろうと確認もロクに取れないまま「抽選するわ…ふふふふふ…」訳も分からない言葉に言われるままに無理矢理と抽選と共にどこかへと飛ばされてしまったのだった。
(な、何だ…ここ?)
目が醒めると、ぼくは全く見覚えのない場所だった。
何だかピンク混じりの部屋だな…。
「ミリアちゃん。おっきしたのね」
ミリアちゃん!?ぼくは、真田幸広って名前なんだけど?
って誰?何だか外国の人っぽい?
「ミリアちゃんは天才だわ。この調子だと色魔法もマスターできそうね」
色魔法?何だそれ?
「そうだな。我がブライト家は、色魔法の使い手。ミリアも将来は、色魔術師になるだろうな」
父親らしき男も女性と同じようなことを言ったのだ。
何なんだ?色魔法って?まさか異世界?
とりあえず、何だか分からないけど?
ぼくは、異世界に転生してしまったようだ。
この世界は何なのか分からないけれど、ぼくなりに何か考えてみようかなと思う。