番外編35 イリア・バーニアス
あたしの名は、篠田結衣。
あたしの夢は、アイドル。
夢に向かって歌・ダンス・演劇・朗読…とありとあらゆる分野を学んでいた。
勿論、容姿に気を配りながら、野菜を中心とした生活を送っていた。
だけど、あの日。
今まで感じたことのない地震を最期にあたしは、あっという間に18という若さで去ってしまったのだった。
何、ここ?
暗闇で何も見えないな。
でも、何だか賑やかな場所だね。
オマケに美味しそうなたこ焼きとか焼きそばなんかの匂いがいっぱい。
何だろう?
色々な人が抽選されている?
第二の人生?ということは、良くある異世界転生が抽選されるってこと?
そんな夢物語みたいなことがあるんだね。
ってそんなことを考えてたら、いつの間にやら順番が回って来ちゃった。
『転生名前はイリア・バーニアス(女)、転生種族は人間、転生日は聖龍歴99982年2月14日、転生先はソルディア・カオスティック・マジフィニクッス・ピースト・ノイント都市国家・レフィーリア、転生特典は一般的な魔法、プレゼントは普通の家』
謎の女性の声に言われるまま、あたしは、新たにイリア・バーニアスという名として異世界へと転生することになったのだった。
それから20年近い年月が流れていた。
「前世の知識を持ったまま、この世界に20年近い年月を気ままに暮らしてたけど…魔法って普通にあるのに、周りの魔法って…いまいちと分からないな」
この世界の魔法は、今は色魔法が主流のようで、あちこちと色を付けていく魔法が流行っていた。
魔法って言うぐらいなんだから…ん?
あたし、一般的な魔法を特典でもらったんだっけ?
ってことは、定番の火魔法とか使えちゃったりするのかな?
一応、家にあった魔導書はあったけどさ?
何か発音が可笑しいんだよね。
「Fireの読みがフィレって…。ファイアでしょ。多分」
そうあたしは思いながら、試しに誰もいないことを周囲確認すると共に唱えてみた。
≪ファイア≫
試しに唱えてみたファイアは、思っていた通りの火魔法の球だった。
「何か…魔法が衰退した世界なのかなぁ。そういえば、学校で地理と歴史を習った時、ここから何日か掛かる場所に魔王がいた所があるんだっけ?試しに行ってみるという価値はあるのかな」
そうあたしは決めると、新たなる道を考えるべく、成人した今は家族の下で過ごすよりも自分の道を行くことを告げると、リベルダ領土にある元・魔王の居城へと向かうことにしたのだった。