番外編33 魔枝(その2)
前職の苦手な人の名前を弄り、口調はそのままです。
来る日も来る日も魔貝として未来永劫を過ごす筈だった、この横川華子。
1000年という気が遠くなる程に貝として、あたしは、幾度もこの海だけを見るだけという世界を見ていたある日。
あたしは、今度は別のモノへと転生させるという声が届いた。
あたしゃね!もう、声も発することも出来ない異世界ってみたいな世界は懲り懲りさ!
いい加減にしろって話だ!
で、言われるままに抽選しろって言うからしてみたんだよ。
あのクズは、ノウノウと生きて過ごしてると思うと、ムカムカするけどね!
で、引いた結果がコレかい!?
何だって言うんだい!?
『転生名前はその辺に何も出来ない魔枝、転生種族は枝、転生日は聖龍歴20020年2月22日、転生先はソルディア・カオスティック・マジフィニクッス、転生特典はなし、プレゼントはなし』
はぁ?枝かい!?
1000年も魔貝として幾度も繰り返しながら過ごしてたあたしが、今度は何も出来ない魔枝って何さ!?
そんな時、あたしを拾い上げた人がいたよ。
「うわー…何かこの枝。嫌だなぁ」
「何だか怨念が積もってる感じだよな。サッサと焼いてしまおーぜ」
は?あたしを焼く?
有無を言う暇もないまま、あたしゃね?
ファイアって言葉と同時に他の枝同様に焼かれながら、また、人生を終えてしまった。
全く…この世界は何なんだい?
あたしゃみたいな立派に過ごしてたもんが、その辺の何かって感じで過ごす世界なのかい!?
全く異世界ってのは、嫌がらせだね!
嫌味を言う生き甲斐をしてた、あたしのどこが悪い所があったって話だよ。
寧ろ注意してもさ?
周りの人もしてるからって何さ?
周りは周りだよ!アンタはアンタ。周りはしてもいいけどアンタはすんなって話だよ。
全く可笑しなヤツだけが、この先も夢のある人生を送ってるのかと思うと、世の中はウザいもんだわ。
いつの日か、あたしゃあね?
この世界に復讐してやんよ!
魔枝としてこの世界に鉄槌を振るってやるよ!
って思っていたら、魔貝として1000年過ごしたあたしは、いつしか5000年以上も魔枝として何も出来ないまま、人間を始めとする訳の分からん種族に燃やされまくったのだった。