番外編32 オーチアル
前職の苦手な人の名前を弄って作成しました。口調はそのままです。
『ちゃんとタイミング見ながら声掛けしろっていつも言ってんだろうが!今、このタイミングで掛け声言うんじゃねーよ!何度言えば分かるんだ!ああ!?ってか日本語聞いてんのか!ちゃんと応えろよなぁ!!!!!このクズ女が!とっとと死ねや!!!!!!』
あたしは、タイミングの悪い愛想のないブス女に向かって毎回のように蹴りを入れつつ、怒鳴っていた。
あたしの名は、岡津千尋。42歳の3人のガキを持つ主婦だ。
ったく…毎回あの女にはグチグチと仕事の手順を言ってるのに、無視すんなよなぁ。
上から何度か言葉遣いがキツいとか言うけど、あたしのこのどこがだ!って言いたいね。
煙草臭いから返さないらしいけど、煙草ぐらい何さってヤツ。
奇抜な色に染めてるくせに煙草駄目って超絶に人として有り得ないし!?
まあ、あたしはさ?年だということと自分にとって都合の悪いことは、聞かないようにしてる。注意される意味も分からないし。
何たってあたしは、いつだって正論だと好評だし!
それにさ?朝の準備中、ちょいとあたしの朝の出来事を周りに話してる中、あの女だけサラリとスルーしながら作業に向かうし、ホント最悪だよね。
『今日はうちの一番下のガキをとうとう殺っちまったんだよなぁ!ガキが悪いんだよね!サッサと喰え!って毎回言ってるのに30分近く掛けるから遅刻になりそうになるしさ!』
って話ぐらいちゃんと返せっての!
それをスルーするってどういう神経をしてるのやら。
普通、子どもに暴力を振るうのが主婦ってのもんだ。
その話をスルーって親の教育が悪いってことしかないよね!
で、気が付けばさ!?
あたしは、仕事中に意識を失った途端、こんな辺境な場所へと飛ばされた挙げ句にあたしの岡津千尋の名前から≪オーチアル≫っていう変な名前にされた上に毎日、鞭を打たれるって何なん!?
言い返そうにも「もぉーもぉー」って牛かって言いたくなる言葉しか出ないし!
ん?良く見たらさ?
あたしの周りも牛だらけ。
ってことは、あたしも牛なのかよ!?
どっか鏡か水たまりは………うわー!最悪!
絶世の美女と謳われた、この岡津千尋がさ?
醜い牛になってやがるの!しかも傷だらけだし!
「おらっ!サッサと動け!オーチアル!」
小太りの男がまた、鞭でビシバシとあたしの体を打ち始めた。
クッ…何なんだよ。
痛みで動けないってのに、鞭を更に打つなんて有り得ない。
このあたしが牛ってのも…気に食わない。
あのブス女こそが、牛になるべきだったんだ!
鞭を打つ側として、あの女を打ちたいね!
と思いつつも、次の人生も牛としてあたしは、転生する羽目になってしまったのだった。