番外編28 秋山正義
俺の名は、ゲレヒティヒカイト・ヘルプスト・ベルク。
周りから、ゲレイットという通称名で呼ばれていた。
「正義の名としてお前は、ゲレヒティヒカイトと付けたのだ。その名に負けないよう、ゲレイット。魔王軍の侵攻を止めるのだ」
「はい。父上」
俺は、名門貴族である、ヘルプスト・ベルク家に生まれたのだ。
正義の名に置いて、俺はひたすらに故郷である街を襲う魔物の群れを斬り捨てていた。
「いいか。応援が来るまで何とかしてでも持ち堪えるんだ」
「はい!ゲレイット隊長!」
そう、各国も今は魔物の応戦で大変だ。
どの国も応援を送る余裕なんてないのは、分かっている。
それでも、人は生きるためには助け合っていかなければいけないから。
「それにしても、数が多過ぎる」
「そ、そうですね…」
1日に何体、魔物を生成しているんだ…と言いたくなる位の魔物の数だ。
既に半日が過ぎようとしているというのに、魔王軍の侵攻は収まる気配は無かったのである。
仲間であるレオ、リア、エル、ポア…次々と魔物の餌食になっていた。
「仲間のために…!」
俺は、最後の瞬間まで諦めなかった。
だが、咄嗟に隙を魔物に見せてしまった。
「ち、父上………」
俺は、ドラゴンとの相討ちで、力尽きてしまったのだった。
(ここは…?ん?あいつは…レオ。レオじゃないか!)
暗闇の中、俺は俺を隊長として慕っていた、茶髪の長身の男に向かって言ったつもりだった。が、声は、レオに届いていなかった。
というよりも、ここはどこなんだ?
俺は、死んだ筈だ。確かに心臓は動いていないし。
一体、ここは、何を行う場所だと言うのだ?
『大変長らくお待たせしました!第3回、第二の人生を抽選する場へようこそ』
は、はあ?
第二の人生を抽選?それに3回目って…?
意外と少ないのか?いや、分からん。
俺は余り数については詳しくないからな。
貴族の出とはいえ、勉強よりも生き残るために剣術を専らにしていたぐらいだ。
とりあえず、俺は言われるままに引いてみた。
『転生名前は秋山正義(男)、転生種族は人間、転生日は2030年3月10日、転生先は日本にある福岡県、転生特典は分別キノコ、プレゼントはキノコ大百科』
は、はあ?特典やプレゼントにキノコって何だよ?
というよりも、秋山正義とはなかなかイカしているじゃないか。
俺のいた国では、秋山というのは、ヘルプスト・ベルクという意味であり、前世の性だ、
で、名前のゲレヒティヒカイトは、正義という意味なのだ。
とりあえず、キノコとは何のこっちゃと思ったのだが?
俺は、今世では、キノコ採取みたいな仕事を代々するキノコ栽培の家に生まれ、生まれ持った特典のお陰で、食べられるキノコと食べられないキノコを瞬時に分別出来、いつしか、我が家は大きな家へとなっていったのである。