番外編22 有栖川昴
おれは、今回で何回、転生したのだろうか?
ソルディア・カオスティック・マジフィニクッスと呼ばれる異世界で過ごしたおれは、幾度と無く魔物との戦いで命を落としてしまった。
おれの名前は、エドガー。
コレでもおれは、名の通った傭兵だ。
物心付いた時から、おれは得意武器である大剣を用いながら、毎日のように魔物との戦いを繰り返していた。
故郷であるスーレシア王国を守るために。
スーレシア王国は、とても良い国なのだ。
人間と他種族が協力し合って生きていく国だから。
だからこそ、おれは他種族に偏見を持たずに生き、今も他種族と共にチームを組んで魔物との戦いに身を置いていた。
それしか生き方を知らないから。
「エドガー。前に出過ぎだ」
「分かってる。だが、ここで食い止めなければ…」
「お前の気持ちは分かるが、今は下がれ。魔法攻撃が来るぞ」
「分かった…」
エルフの放つ魔法攻撃は、とてつもない威力を持つことをおれは身を以て知っている。
それ故におれは、言われるままに下がったのである。
「よし!今だ!」
合図と共に10人のエルフは一斉に「サンダーⅩ」を押し寄せて来る魔物の大群に向かって魔法攻撃を仕掛けたのだ。
「こ、コレで…魔物も…なっ!」
少し勢力は落ち着くかと思ったが、雷を自らの強化として纏い、次から次へと襲い掛かったのである。
「クソッ…!なんて奴等だ!」
おれは、それでも必死に大剣を振るった。
エルフもまた、雷以外の精霊魔法を試みるが、ますます魔物は強化していくばかりだったのだ。
「一体、魔王は…何てヤツを生成しやがったんだ…!」
魔王でしか魔物は生成することが出来ない。
魔王の魔力を浴びて生成された魔物は、とてつもなく強かった。
クソ…おれたちの国を…世界を…何だと言うんだ…。
おれは、いつしかまた、この世界で命を落としてしまったのである。
そして、今。
おれは、第二の人生というよりも第何回目になるのか分からない抽選の場にいた。
で、おれは、今度はニホンという世界へと有栖川昴という新たな生を受けることになったのである。
転生特典は、イケメン料理。
料理ってどういうモノなのか前世では分からなかった、案外とコレが実に楽しい。
前世で味合うことが出来なかった、平穏の世界がこの世界にはあるのだ。
かっちょ良く盛り付けるのも苦ではなく、正にイケメン料理なのだろう。
本当にこの世界は、魔物との戦いに縁のない世界なんだなと改めて実感した、おれであった。