番外編20 工藤結美
近々ですが、<抽選大魔王>及び<魔王の城でスローライフ>はストック補充する為、休載予定です。
この世界は美しい。
ソルディア・カオスティック・マジフィニクッスで生まれた私は、ひたすらにこの世界を守りたいと願い、魔法の腕を磨いていた。
私の名は、レーア・アシュレード。
故郷であるクアルト共和国を守るため、魔法という手段で魔物と戦う道を選んだ。
ここ私の故郷は、魔法使いの末裔。
誰もが魔法を手に取る道しか無かった。
それでも、誰よりも魔法の腕のある双子の姉妹がいた。
彼女たちは、伝説と呼ばれた魔法使いと僧侶を幾度となく転生しているのだ。
だが、私も魔法使いの端くれ。
彼女たちに遅れを取るつもりはないのである。
「我、ここに下位精霊フォイアーの力を借りてこの技を為す…ファイア」
ひたすらに私は、今はスライムの大群を火魔法でやり合っていた。
スライムは、火に弱い魔物だが、放っておくと粘液で街を破壊してしまうのだ。
この世界及び美しい街を魔物の手によって侵されたくない。
かつて、魔王と同じ北にあるというアーノルド連邦は、あっという間に侵略され、今は廃墟同然の国となっていると聞く。
だからこそ、私は火魔法を磨いて来たのである。
ただ、詠唱しないと発動しないという厄介なモノだけど。
だが、魔物の方が上だったのだろう。
私は、人間。
だからこそ、魔力切れを狙い、更なる大群が襲って来たのだ。
魔物は、魔王によって生み出されたモノ。
魔王の力に応じて、魔物は強くなるのだ。
今回の魔王は、私の想像を超えていたのだろう。
正直、彼女たちのように生まれ変わったことのない私にとって分からないのだけど。
いつしか私は、魔物によって攻撃を受け、今はとある場所へと案内されていた。
どうやら、私は故郷を守れずに死んだということだろう。
それ故に第二の人生を抽選する場所へと来ていたのだ。
色々な人がいるのだ。
私と同じ世界の者もいれば、全く知らない世界の人間もいる。
世界は広いのだろう。
ソルディア・カオスティック・マジフィニクッスに生まれた私は、何も知らなかったんだなと改めて痛感した。
そして、私は別世界であるニホンという国で、新たに工藤結美という名を与えられ、今は世界史を中心とした、平和の世界で、勉強を送る日々を送っているのである。
「この世界の勉強は、とても興味深い。こんな世界もあるんだな…」
私は、独り言のように呟きつつ、今日も魔物との戦いに縁のない平和な世界で過ごしている。