番外編14 魔種
似たような話がゴロゴロですみません。
ん?んん?んー?
何だ?オレって本当に種として転生ってマジ?
オマケに動けないんだけど!?
≪そこら辺に埋まっている良くある魔種だが、何もないタダの種≫
って言われたけど、本当に何もないタダの種?
魔種って言う素敵な種かと思いきや、マジのマジで?
普通に心の中でぼやくことしか出来ない種なのかよ!?
ガッカリ系の第二の人生だな…おい。
確かオレ、あの時…?
「サッサとノルマをこなせよ!能無し!」
オレの働く物流会社の一週間分の出荷量の平均は、5万。
その中でただ一人の人物が足を引っ張っているが故にオレは、いつにも増してグチグチと言っていた。
「ったく…文句の1つぐらい言えよな!」
ただ、黙々とこなすだけの人物にオレは、苛立ちを覚えていた。
幾ら今、コロナ渦だからって一言も返さないのは、どうかと思う。
まあ、社内の感染者数が半端ないからと、無闇に会話は控えるべきだと言うけれど、少しは返してくれてもいいだろうと思うんだよな。
それに『言語失調症』か何か知らんが、そんなのは病気にならんだろう。
何たって本田部長はそんなヤツを筆談だけで、採用させたんだか。
で、その日の定時。
オレはもう我慢の限界だった。
その人物のこなした出荷量は、やっぱり2000と少ないことに気付いたのだ。
幾ら社内の平均は一人辺り1500とはいえ、2000は少ないよな。
オレよりもいつも10も少ないし。
周りもこなしている数は多いからと問題は無いとはいえ、そのお陰でオレたちは残業だ。
定時になると同時に帰るその人物が出て来るのを待った。
で、オレは………持参していたナイフで刺した途端、オレの意識はどこかへと飛ばされ、第二の人生が行われる抽選みたいな場所にいた。
はぁ?なんで?
そこで、オレは≪そこら辺に埋まっている良くある魔種だが、何もないタダの種≫として、言われるまま、どこかに飛ばされた挙げ句に土の中だよ。
という訳で、今のオレは魔種。
タダの種だからといえ、何か出来る筈だと身体を動かそうにも動かない。
で、水が入って来たから芽が出るかと思えば、10日間待ったが、何もない。
このまま、オレは誰にも気付かれないまま、人生を終えるのだろうかと思っていたら、もう何日経ったのか分からないまま、流されるまま、いつの間にやらとオレの人生は、呆気ない第二の人生を終えてしまったのである。