番外編12 佐藤流星
番外編は行き詰まりつつあります。
流れ星は好きだ。
だからこそ、俺は流れ星に関する歌を歌い続けていた。
どんなに魔王が編み出した魔物との戦いが続こうが、俺は気休めに歌を歌い続けることを辞めなかった。
俺の名は、スターリング・ノア・エスタール。
一応、数ある名門貴族の出なのだが、俺はシンガーになる夢があった。
だが、世界は、それを許さなかったのだ。
魔王が編み出した魔物は、俺たちの住む街を始めとする多くの街を襲った。
愛する者も魔物の手によって殺されてしまったのだから。
だからこそ、俺は歌と共に剣を取る道を選んだ。
「勇者たちが魔王を倒してくれるまで、頑張れ!」
俺は、仲間と共に魔物を斬って斬って斬りまくっていた。
魔王さえいなくなれば、魔物も消えてしまうというのは、何万年も続く勇者と魔王との戦いで証明されているからだ。
魔王が勇者の手によって討たれる度、魔王のマナを浴びて編み出された魔物も消滅するのだ。
「危ない!スターリング!」
仲間の声と共に俺は咄嗟に油断してしまった。
魔物によって腕を噛まれ、そこから毒が溢れて来たのだ。
毒の魔物にやられてしまったか…。
「クソ…誰か!キュアルが出来るヤツがいるか!」
「スターリングがやられた!誰か!」
仲間たちは俺を守るようにしながら言うが、仲間たちも毒の魔物によって次から次へと倒れてしまったのだ。
「呼んで…いる…星よ…」
こんな時でも俺は歌は諦めなかった。
歌は俺の生き甲斐だったから。
「今は歌を歌ってる場合じゃないだろ…」
「…いいから歌わせてやれ。おれたちも…最期だ…」
仲間たちの言葉の元に俺は歌い続けた。
いつか、平和な時代が来ると信じながら、俺は歌った。
もし、生まれ変わることが出来るのならば…。
魔物との争いのない世界に生まれ変わりたい。
そして、その世界で俺は…シンガーソングになる。
「さあ…星々よ…みんなの願いを…乗せて………」
俺はそのまま、息を引き取ってしまったのである。
『佐藤流星(男)、転生種族は人間、転生日は2030年11月5日、転生先は日本にある東京都、転生特典は超イケメンボイス、プレゼントは星に関する資料集』
俺は何となく第二の人生の抽選会場で、ニホンという世界で生まれ変わった。
俺の夢は、ニホンで叶ったのだ。
今、俺は新たに『佐藤流星』という名で、前世の歌を元にこの世界で、歌い続ける平和な世界で、第二の人生が始まったのだった。