番外編11 魔貝
名前の由来は、職場の苦手な方の名前を弄っただけです。
あたしゃ…魔貝。
そこら中の海にある魔貝という名前らしいじゃないかい。
ってなんで貝として異世界に転生したのか、ハッキリと分からん。
確かあたしゃ…横川華子って名前じゃなかったかい!?
なんたって魔貝として、海辺にいるんだい!?
そういえば、いつものようにさ?
あたしゃさ?2ヶ月後に入社したばっかりの男に注意していたんだよ。
なんで注意したかって?
作業ペースが遅いんだよ。サッサと出荷作業は商品を物損しようかお構いなしにさ?
投げるようにオリコンの中に商品を入れていけばいいもんをわざわざ割れないように置くというちんたら速度が気に食わなくて注意していたんだ。
ホント、仕事のノロマのせいで、あたしゃ…毎日残業してんだ。
それだというのに、あの入社したばっかりの男。
準社員として早々と昇格するし、腹いせに殴ってやったんだよ。
で、殴った後に何なんだい?
さっきのあの揺れはさ!?
で、気が付いたら、変な場所だったし。
仕事にいた筈だろ?あたしゃ!
何なんだい?第二の人生を抽選って?
あたしゃね?アニメとかゲームなんかのようなもんは、興味がないんだよ。
とりあえず、有無を言わせないからなのか、抽選を無理矢理とさせられた結果。
コレだよ。信じられるかい!?
『転生名前はそこら中の海にある魔貝、転生種族は魔貝、転生日は聖龍暦58585年4月1日、転生先はソルディア・カオスティック・マジフィニクッスにあるリベルダ領内にある海、転生特典は次回も魔貝に転生、プレゼントは特になし』
って何なんだい!?って一言もあたしゃ…あのふざけた女神って女に何も文句を言えないまま、知らない世界に飛ばされた挙げ句に貝だよ。
言葉も話せなければ、自分の意思で動けない。
困ったもんだわ。
次回も魔貝に転生ってのも気に喰わないね。
それにしても、退屈だ。
この世界は、海しかないのかい!?
ただ、このままジッとして過ごす人生かい。
あたしゃ…疲れたよ。
この先、ずっとどっかの誰かさんと違ってさ!?
未来永劫に魔貝として転生を繰り返すんだろうなと思いながら、先の見えない人生になってしまったのだからね。