番外編8 ヴァレス・リノベイション
色々と番外編は気にしないで下さい。
私は、いつも周りの言葉に傾けていた。
いつも、誰かの話を良く聞いていた。
だから、相手を傷付けたくなかったから。
そんな私も無意識の中で、相手を傷付けてしまった。
傷付けるのが怖くて、助けを求める相手の手を貸さなかったから。
それ故に相手を追い込んでしまい、相手を自殺という形で二度と会うことが出来ない場所へと逝ってしまったのだ。
それから何年経ったのだろうか?
私は、後悔の念を持つ内に彷徨っていた。
ここは、現なのか幻なのか分からない。
分からないことから、きっと私も相手と同じ場所へと来てしまったのだろう。
怖かったよね。もう、大丈夫。
私があなたを二度と見捨てたりしないから。
そんな時、突如と第二の人生が行われるという抽選会場で、私は引いたのだ。
『初代魔王ヴァレス・リノベイション(男)、転生種族は魔族、転生日は聖龍歴1年1月1日、転生先はソルディア・カオスティック・マジフィニクッスにあるリベルダ領、転生特典はカリスマスキル、聖徳太子の心得、プレゼントは異世界魔法入門書+魔物生成書』
何とも皮肉な人生だ。
こんな私が魔王?魔王になる資格なんて無いでしょうと言いたくなる気持ちがある中、私は転生を余儀なくされてしまったのである。
どうやら、この世界は剣と魔法が存在する世界らしい。
が、魔法は余り発達していないらしく、ここは私の知る限りの魔法をこの世界を生きる人々に教えていった。
一応、前世では軽くアニメやゲームといったファンタジー系のモノを少しだけ囓っていたから。
また、魔王として人々を正しく生きる道を教え、彼らから尊敬の眼差しを向けられていた。
そんな人生も悪くないかも知れない。
ずっと思っていた。
平和が一番過ごしやすい世界だから。
私のいた世界は、平和だった。
だから、この世界も平和であるべきだとずっと思っていたのだ。
が、突如と平和は崩されてしまった。
いつしか人々の中で、魔王は悪という精神が生まれ、私は追われるようになった。
なぜ?私はこんなにも人々のために尽くして来たというのに。
人々に魔法の知恵と知識を与えて来た私が悪?
言われてみれば、二次元の世界における魔王は悪そのものだ。
この世界で魔王が悪という認識が生まれてしまったのだろうか?
私は、人々に魔王が悪だということを教えていない。
きっと、私と同じようにこの世界に転生した者がいたのだろう。
あの場所にいたのは、私だけでは無かったのだ。
誰もが心の中で、欲望を秘めた言葉を発していた。
その中でも、私から後に続く魔王の言葉は、前世で恨みが相当遭ったのだろう。
今となっては、誰が誰なのか思い出せないけれど。
それからというもの、私は、人々に追われたが、何とか自身の領土へと戻ることが出来たものの、この世界は力を付け始めた人間は、自らの欲望のため、他種族を見下し、支配下へと置くようになってしまったのである。
私は、自衛のために魔物を生成することにした。
いつ、ここが攻められるか分からないから。
どうか、この世界に転生して来るだろう魔王よ。
人々をどうか…
正しき道へと歩むように願って欲しい。
コレが私の最期の願いである。