1話・誕生!救世主・希望の輝〜プロローグ
普通の小学生が災いから守る救世主へ
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同級生に注目されるような人気者なる。そんな華やかな小学校生活はめんどくさくて、うんざりする。学校へ行って、授業をテキトーに受けて、仲がいい友達と面白い話をして、家に帰っては晩ごはんを食べて寝るという日常が過ごせればそれでいい。それが天道輝の一番の願いだ。他人の問題には無関心。自分に関係がなければそれでいい。
……なのに、なんでオレは災いから守る救世主の仕事をするハメになったんだ。こんなはずじゃなかった。すべては「パンドラの箱」を開けてしまったことから物語が始まった。
放課後、オレは「読書クラブ」で活動をしていた。「読書クラブ」といっても実際は「読書愛好会」だ。2人のメンバーと一緒に図書室にある本を見つけて、読んでは感想を語り合うだけだ。活動らしい活動はしていない。でも、趣味である読書をメンバーと一緒に語り合うのは本当に心地がいい。退屈な小学校生活の中で一番唯一の楽しみだ。活動時間は3時から5時までの2時間だが、オレにとって、それは、あっという間で2時間が短く感じる。なのに、45分の授業は長く感じる。授業の時は「早く終わらねえかな」とそわそわしちゃう。
5時になると先生が「早く家に帰りなさい」と言ってくるから、5時になると必ず下校しなければいけない。読書メンバーと別れて帰り道をまっすぐ歩いた。
家に着くと誰もいないのを分かっているのに、つい癖で「ただいまー」と言ってしまう。そう、両親はもうこの世にいない。
オレが幼い頃に交通事故で亡くなって、じいちゃんに引き取られて育てられた。じいちゃんは大学の教授で言語学が専門でいろんな外国語を知っている。時々、外国語の言葉や神話を教えてくれる。じいちゃんからそれを聞くのを楽しみにしていたが、今日は外国へ出張しているため、聞けないのが残念。
晩ごはんを食べた後、じいちゃんの書斎室に入って面白い本を探そうとした時、気になる本を見つけた。
「なんだ?アルファベットで書かれているけど、英語の本か?」
4年生の時から英語を勉強しているから簡単な内容ぐらいは読める自信がある。ページを開こうとした途端、小さなしおりが落ちた。そこは文字が書かれていて思わず読んだ。
「リベロ…(Libero)」
このことがきっかけで、平穏無事なオレの日常生活を大きく揺るがした!