誰かと誰かの話
「ベルンハルトの婚約者選びはどうなった?見た目が好みだからって理由だけで、エルヴィーラを婚約者に選ぶんだよね。それで後から好きな人ができたからって破棄するとかさ、私そういうの好きじゃないから」
「そうですね。相手の方に失礼だと思います」
「だよねー。それで、妨害は上手くいった?」
「彼女は目立たない席でずっとお菓子を食べていましたし、婚約者は在学中に親交を深めてから決めると通達されました」
「えーー。ベルンハルトルートのライバルは、エルヴィーラだよ。どうしたんだろう?ベルンハルトのこと好きなはずなのに。作戦?」
「作戦とは思えませんね。全く興味が無さそうでした。以前お伺いした事前の根回しも、父親であるノルン卿は積極的に動いていたようですが、エルヴィーラ嬢本人が特に何かをしていたような情報はありませんでした」
「えーー。転生者がいるパターンかな?どんなお茶会だった?」
「テンセイシャ?」
「私みたいに未来を知っている人が他にもいるかもってこと」
「なるほど。お茶会は公爵家ルイーゼ嬢もいましたが、実質は侯爵家イザベラ嬢と伯爵家スーリヤ嬢の一騎打ち状態でしたね」
「えーー。ルイーゼが婚約者候補になっているのなら、ノルン侯爵家の関係者か、それとも公爵家の関係者かなぁ」
「ルイーゼ嬢は殿下の婚約者候補ではなかったんですか」
「本当ならルイーゼはヴェルナー様と既に婚約の約束をしているはずなんだよねぇ」
「噂でも聞いたことがないですね」
「そっかぁ。二人が婚約の約束をしているから、ヴェルナー様ルートのライバルはルイーゼになるはずだったんだけど」
「殿下にアピールしていたので、それはないかと」
「だよねぇ。どこかに私と同じようなことを考えている人がいる可能性が高いな…。エルヴィーラもヴェルナー様も可哀想だもんな」