男子寮のざわめき
「エルヴィーラ様、めっちゃ可愛かったな」
「いや、美人だよ。あの儚い感じがたまらん。華奢だし、守ってあげたくなる」
「出るとこは出てるしな」
「こら、我らのエルヴィーラ様に不敬だぞ!」
「この間さ、風が吹いてエルヴィーラ様のスカートがこう、ちょっとめくれたんだけど」
「何だと!!」
「続きを話せ!!」
「タイツじゃなかったんだ、ニーハイソックスはいてたんだよ」
「ままままままさか」
「そう、生太ももがチラ見え」
「何ぃぃぃぃぃ!!!」
「性格も良いらしいぞ」
「ああ。俺たち伯爵令息にも気さくに話しかけてくれるよな」
「そりゃ、あの顔に悪い人はいないだろう」
「何だそりゃ」
「だって、いつも笑顔で話しかけてくれるだろ?」
「確かに。ルイーゼ様なんて俺らがいること無視するもんな」
「侯爵家以下を虫だとか思ってそうだもんな」
「いや、虫なら逆に反応してくれるのでは…」
「イザベラ様はちゃんと挨拶してくれるよな」
「ああ、うん。だけど何て言うか…」
「そうだな。近寄りがたいよなぁ。マナーとか話し方とか大丈夫か気になっちゃう」
「エルヴィーラ様なら笑って許してくれそうだよな」
「わかるわ~」
「やはり我らがエルちゃん!」
「何でも使用人とも仲良くしているらしくて、手作りのお菓子を持ってきてくれたりするんだって」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「分けて欲しいな」
「そうだよな、食べてみたい」
「いや、待て。いくら気さくとはいえ侯爵令嬢だぞ。ちゃんとお菓子になっているのか?」
「めちゃくちゃ美味しいらしい…」
「男子寮にもぜひ、笑顔で持ってきて欲しいな」
「そうだな」
「女子寮の使用人と親しくなれば、あるいは…」
「どうやって親しくなるんだ。無理だろ」
「そう、我々にはそもそも親しい令嬢さえいない…」
「エルちゃん…」
「友人のデポラさんもいいよな」
「ああ、わかる。何かこう、色気を感じる」
「だな」
「ダメだ、デポラさんには両親も認めた相手が専門学院に…」
「夢を見るくらいいいだろ」
「二人揃って歩く姿は眼福だよな」
「そうそう」
「エルちゃんの笑顔が余計に眩しくなる」
「だな」




