誰かと誰かの話
「別館にはエルヴィーラ嬢が入寮されていましたよ」
「えっ、確実にヒロインじゃないね。それでヒロインが特定できると思っていたのに」
「そうですね。結局誰かは分からないままです」
「初めての魔法演習はまだ?」
「いえ、先日ありましたよ」
「ベルンハルトとヒロインがペアになった時、ベルンハルトがヒロインをうっかり魔法で吹っ飛ばしちゃうの。それでヒロインが気を失って、医務室で二人きりになるんだけど…」
「…殿下のペアは、ルーカス先生でした」
「二人のペアにそんなことは…」
「起こってないですね」
「そうだよねぇ。ヒロインが目覚めた後、ベルンハルトが手配して、二人で食事をするんだけど」
「魔法演習の後は、ルーカス先生とお食事をされていたと聞きました」
「えっ、まさかのBL展開?」
「BL?」
「いやいや、何でもないよ。その後二人が親しげにしていたりは…」
「親しくはされていますね」
「あぁぁぁ!未来が変わるってことは、そっちもありなの!?いや、でも吹っ飛ばしてないし!!ペアになるだけでも良かったってこと!?二人とも攻略対象者だよ!?」
「……?攻略対象者?」
「ゲームの中で恋愛できるルートがあるってこと」
「教師が生徒とですか?あり得ませんし、実際にそうなる可能性があるとするなら、ルーカス先生が無事でいられるとは思えませんが」
「まぁ、教師と生徒は色々と問題が多いよね。それも含めてヒロインちゃんにはぜひ、ベルンハルトルートに入ってもらいたい」
「殿下ルートでも婚約者候補以外からとなると、難しいと思いますよ」
「そうだよね…。だからこそ後押しをして欲しいと言うか」
「誰かが判らないのでは、どうしようもないですね」
「名前だけじゃなく髪も目の色も選べたし、伯爵家もランダムだったんよね…」
「そのヒロインは、殿下に元々興味を持っているのですか?」
「いや…たぶん、きっかけがあってお互いに意識して惹かれ合う感じ」
「うーん、絞るのも難しいですね」




