おまけ ポンコツ同好会
「ちょっと、どういう事なの!?」
いつもの貸し切りカフェで、思い思いに令嬢たちが話をしている。その場にまた、クリスもほぼ強制参加させられていた。
「あの二人、婚約したって嘘なの!?」
「婚約前と何も変わらないって何なの!?」
「雰囲気も変わらないよね!?」
「甘い雰囲気とかないわけ!?」
二人きりで遊びに出かける様になったり、幸せそうに手を繋いでいるのも知っているが、クリスは黙っていた。
ここ半年くらいの二人のお出かけが、訓練の為だったとはとても言えない雰囲気。言ったら言ったで根掘り葉掘り聞かれても困る。
クリスは賢明な男なので、沈黙を選んだ。
その後、二人は相変わらず周囲をやきもきさせていることに気付かないまま、じっくりゆっくり二人のペースで仲を深めていく。
周囲が知らないだけで、二人だけの時は非常に甘い空気が漂っているのは秘密。
周囲に気付かせない程、公私の使い分けが上手なのは、二人が育った環境が影響している。
ポンコツ二人で考え、ダーリンに会えないデポラを気遣っていたのだ。当のデポラは、進展が見られない二人にやきもきしていた…。




