誰かと誰かと誰かの話
「久しぶりー!」
「お久し振りです。ほむらさん、たつきさん」
『また会えるって言ったでしょ。無事に難局を乗り越えたのね』
「たつきさんの助言を聞くことができて、本当に良かったです」
『貴方は勘が良いから、悩んでいてもどれが本当に一番いい未来を掴むのか、どこかではわかっていたのよ。ただ、多すぎる情報と、周囲の状況が貴方の判断を鈍らせてしまっていただけ。選ぶべき最善の未来を選んだだけよ』
「でも、背中を押して貰ったのは事実です」
『役に立ったのなら、良かったわ』
「それで、エルヴィーラとはどうなったの!?」
「えっ?ああ、思ったよりずっと元気に過ごしていますよ。以前より生き生きしているように感じます」
「いや、そうじゃなくて…」
『うーん、もしかして、まさかと未だに思っているみたいだけれど、それは間違いなく貴方が思っている通りだと思う。意味わかる?』
「えーと…」
『あら、今ので私との縁が出来たみたい。……そうね、貴方が忘れかけた頃にまた会いましょう。貴方は勘がいいから、私を見れば直ぐに分かるはずよ。その時には、私の名前を呼んでね』
「名前を、ですか?」
『そう。私はそちらの世界では異質な存在だから、名前を呼んで貰えないと、深く関われないの。助けになれると思うわ』
「あっ、そろそろ繋がりが切れちゃいそう!元気でね、ディートリヒ!」
「お二人もお元気で…」
ベッドで目が覚めた時、たつきさんに言われた言葉が頭の中をぐるぐると回り、唐突に自分のエルに対する好意を自覚してしまった。
しばらく挙動不審になって、エルの目を見て話ができなくなってしまった。エルにとってはただの友人のようなので、本格的に外堀を埋めることに決めた。




