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92.
俺は次郎の影から飛び出し、刀でやつの背中を刺す。
『やりました!?』
「いや、まだだ」
やつめ、俺の奇襲に気づいて、即座に対応してきやがった。
体の芯をずらして急所を外したのである。
こっちには回復魔法が使えるヴァイパーがいる。
だから、致命傷を負わせて、リタイアに追い込もうとしたのだが……。
甘かった。
やつは武人としても優れているらしい。
「随分と卑怯なまねつかうじゃーん、ひかげくん?」
次郎はバッグステップで距離を取って、仲間に治癒してもらう。
その手には1本の棍棒が握られていた。
あれが、次郎の神器だろうか。
見た目から能力が想像しにくい。
「複数人でガキ一人をボコるよりは、卑怯じゃないと思うが」
俺は次の策のために時間を稼ぐ。
向こうも治療のために、会話で時間を延ばそうとしているのだ。ちょうどいい。
「それはそうかしれねえが……ま、君ただの子供じゃないしね」
治療が終わったのか、次郎が棍棒を手に持って構える。
重心は後ろ、突っ込んで来るタイプではないようだ。
俺は刀を構える。
まだ少し時間がかかりそうだ。ここで、さらに時間を稼ぐ。




