85.
次郎は、身代人形が破壊されたのを感じ取った。
「やれやれ……」
次郎達、聖騎士達は奈落の森の外に待機していた。
「次郎、どうだ? 偵察の方は」
身代人形、魔道具の一つだ。
意識と姿を投影し、もう一人の自分を作る。
操作方法はオートとマニュアルがあり、次郎は自分で身代人形を使って、ヒカゲと話し合いをしていたのだ。
「向こうさん、提案には載ってこなかったよ。女保護するって言ってもね。慎重派だね、どうにも」
次郎も向こうが載ってくる確立は低いと思っていた。
だから、交渉が決裂しても特に落胆はしていなかった。
一方、竜一は眉根を寄せる。
どうにも地雷を踏んでしまったようだ。
「提案……? なんだそれは。油断させて殺す作戦だろう? 黒獣も、周りの女どもも」
そう……竜一はひかげが予想したとおり、女を守る気はさらさら無かったのである。
一方次郎はというと。
「黒獣はともかく、女は関係ないだろ。黒獣に脅されて仕方なく一緒に居るのかも知れないしよ」
「そんなわけがないだろう! 人外は悪、それに与する存在も悪! たとえ人間だろうとな!」
竜一が声を荒らげると周りに衝撃波が走る。
聖騎士達が立っていられなくなるほどだ。
だが次郎はひょうひょうとした態度のまま言う。
「ま、落ち着け。黒獣を討伐するのが主の望みだ。人間はおまけみたいなもんだし、なにより黒獣を殺せば、女どものなかに戦えるやつはいない。いずれにしろ黒獣を優先するべきだ」
「…………」
スッ……と怒気をおさめる竜一。
「黒獣を倒す算段はついたんだな?」
「さぁねえ、相手はかなり強いからな」
「貴様……」
「ま、そうカリカリすんな。焦らずやろうや、獣狩りをな」
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