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81.
俺の元にヴァイパーからの報告が入ってきた。
『ご主人様が作った影の森で、騎士達は動きを止めました』
「そうか」
だが、安心はできない。
「相手は野営の準備を始めたか?」
『そのとおりです』
やっぱりな。
影呪法には弱点がある。
それは、日の光が無ければ、最大効果が発揮できないってことだ。
影を作るためには光が必要。
光が強ければ強いほど効果があがり、逆に光が弱まれば効力が落ちる。
今は真昼。影が最大限発揮できる時間帯だ。
けれどやつらは、夜を待つ態勢。
そうすれば影の力は弱まる。
月明かりで影は作れるが、昼間とくらべると数段威力が落ちる。
森の外に作られた、影の森を維持することはできない。
『まあ、計画通りですね』
「ああ、夜を待ってくれるなら好都合。俺が一番やりやすい時間帯だ」
残念だったな。
俺は影使いであると同時に、暗殺者でもあるのだ。
夜は、暗殺の時間だ。