80.
ヒカゲが次なる策を用意してるとはしらず……。
聖騎士たちは森に火を放った。
「た、隊長……竜一隊長!」
部下がこの大部隊のリーダー、竜一の元へやってくる。
その慌てた様子から、ただならぬ事態が起きているのだとわかった。
「どうしたのだ?」
「森が……燃えないんです!」
「なに? どういうことだ?」
「わ、わかりません……火を放ったというのに、木々が一向に燃えないのです」
竜一はいぶかしがりながら、次郎とともに現場へと向かう。
「なるほど……確かに、そうだな」
下草は燃えているのだが、肝心の森の木々には一切火の手が回っていないのだ。
どうやってもおかしい……。
「黒獣が森に呪いでもかけたのでしょうか……だとしたら……入っては……ぎゃあ!」
報告をしてきた騎士の首をはねる。
それはもう、冷淡に。無視を潰すかのように。
「神の使いが何を恐れている。黒獣の呪いが恐い? そんなやつに聖騎士は務まらない。今すぐ私が首をはねてあげるから、前に出なさい」
全員が萎縮していた。
竜一はため息をつきながら、木々を見やる。
「なるほどなぁ」
「何かわかったか、次郎」
「ああ、簡単なトリックさ。これは……本物の木じゃあねえのよ」
次郎が指さすさきには、本物の木があるようにしかみえない。
「あの影使いは、影を粘土みたいにして、あらゆるものを作る。その技術を応用して、偽物の木を作ったんだな」
「どうしてそんなことを?」
「敵を動揺させるための策……ま、今の状況を作ることだろうよ」
確かに黒獣の呪いだといって、みんな怯えてしまっていた。
それに竜一の粛正もあいまって、戦意がそがれているように見える。
「では、これは偽物で、触っても問題ないのだな?」
「うーん……どうかな。影である以上、向こうの二重の罠である可能性も捨てきれないな。触ったら影の沼に落ちる……とかよ」
次郎の言うとおりかもしれない。
「では、どうする?」
「ま、簡単なことよ」
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