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79.
やつらだって馬鹿じゃない。
敵が影使いだってことを踏まえたら、直ぐ気づくだろう。
影があるところで戦うことは不利、かといって、黒獣を森から引き剥がすことはできない(理由がない)。
ならば、どうする?
『ご主人様』
「……敵が動いたか?」
『ええ、想定通り、やつらは森に火を放ってきました』
森の木々があるから、影ができてしまう。
ならば火を放ち燃やそうと言う思考にたどり着くのは、読めていた。
向こうは殲滅、つまりこちらを皆殺しにするつもりでやってきてる。
火を放った結果、エステル達、木花村人たちが死んでも、向こうとしてはいいわけだ。
黒獣をかばう罪人なんだからな。
ちくしょうめ。
「……しかしまあ、読みやすいやつらだ」
火を放つことは想定内。
ならばそれに備えておいて当然。
『ヒカゲ様、やつらは慌てております』
どうやら綺麗に策にはまったようである。