69.暗殺者、シスターを助ける
遅くなって大変申し訳ございません。
更新再開します。
年中暗い奈落の森にて。
俺は敵と、一般人の気配を感じて、そこへと影転移を使って向かった。
年中影に包まれたここ奈落の森において、俺は影の能力【影呪法】を使い放題だ。
一瞬で転移すると、そこには紺色の服を着たシスターが、巨大な蛇に襲われていた。
「シッ……!」
影で刀を作り、蛇を一瞬でみじん切りにする。
「え……?」
「……大丈夫か」
シスターの前に俺は立つ。
あまり特徴の無い女の子だ。
エステルやミファと同年代くらいか。
「あ、あなたは……?」
「……ここの守り神みたいなもんだ」
自分で言うと恥ずかしいなこれ……。
「そうですか。助けてくださり、誠にありがとうございます。申し遅れました、五和です」
「……ヒカゲだ」
「ヒカゲ様。本当に危ないところをどうもありがとうございました。お礼しても仕切れません……」
ペコペコと、見てるこっちの方が申し訳なくなるくらいに、頭を下げている。
「……ここは危険だ。さっさと出て行った方が良い。森の外まで送るぞ?」
「ありがたい申し出ですが……わたくしはこの森に住むひとに、会いに来たのです」
「……帰った方が良い。この村に人なんて居ない」
奈落の森のなかに、女人ばかりが集まった村がある。
そこには俺の大事なひとたちが暮らしている。
彼女たちの平和を脅かす存在は即刻排除するし、そうなるリスクはなるたけ避けたい。
「ですが……」
「……悪いことは言わない。帰れ」
「しかし……」
思ったより頑固だなこの子。
「ならば伝言をお願いします、ヒカゲ様、わたくしは【黒獣】様に忠告をしに参ったのです。」
「………………」
黒獣とは、俺のあだ名だ。
影を使った獣になれる俺は、敵からはそう呼ばれているらしい。
黒獣の名を知っていると言うことは、少なからずこいつも、敵の一員ってことか。
……それにしても、あまりに戦意が感じられない。
「……話だけ聞いてやる」
「まもなく大規模な【聖戦】が起きようとします」
「……聖戦?」
「われらの祖国が、黒獣を討伐するために兵を派遣するそうです。13使徒だけでなく、無関係な聖職者をも引っ張り出す……大規模な戦闘になることでしょう」
「……むごいことを。どうして、そこまで黒獣を毛嫌いするんだ?」
「我らの祖国は神とその被造物である人間のみを第一に考えており、それ以外の存在は認めていないのです」
なるほど、魔物も魔族も敵ってことか。
黒獣は魔王を倒すほどの強力なモンスターだからな。
こいつらからしたら、俺は平和を脅かす邪魔者でしかないのだろう。
「……なんでおまえはここに来た?」
「争いはよくないと思ったからです。黒獣だって生き物です。他者が理不尽に命を奪って良い道理はありません」
「……全くその通りだ」
「ですので、聖戦が起きる前に、話し合いができない物かと」
ここに来る敵の中で、比較的こいつは話が通じそうだった。
だが……。
「……おまえ1人で何ができる? 聖戦なんてデカい戦を、止められるのか?」
「そ、それは……」
自信なさげに、彼女が俯く。
まあそうなっても仕方ない。
こんなか弱そうな子に、同行する力があるとは思えない。
「……おまえの意思は、黒獣に伝えておく。だがもう帰れ」
「し、しかし……争いを止めないと」
「……無理だよ。あいつらが、おまえみたいにみんなまともじゃないんだから」
「そんな……」
と、そのときだった。
「! 避けろ!」
「え? きゃああ……!」
俺たちのいた場所一帯に、火矢が打ち込まれた。
影の中に潜る【潜影】の術を使って回避しなかったら、今頃蜂の巣になっていただろう。
「一体何が……!」
「……どうやら、手遅れみたいだな」
大人数が、奈落の森に攻めてくるのがわかった。
聖戦とやらが、始まってしまったのだろう。
「……やるしかねえな」
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めちゃくちゃ頑張って書いたので、よろしくお願いします!




