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118/119

118.



《シュナイダーSide》



「素晴らしい! 素晴らしいですよヒカゲくん!!!!!!!!!」



 全ての黒幕、魔神シュナイダーはヒカゲの活躍を、使い魔を通して見ていた。

 彼がいるのは、奈落の森(アビス・ウッド)の遥か上空。



 シュナイダーはヒカゲの活躍を喜び……。

 そして、己の目的を達成できたことについて、狂喜乱舞していた。



「やりました! 神殺しの兵器の完成です!」



 神殺し。

 シュナイダーの目的だ。



 彼は元々天界(神々の世界)を追放された神の1柱。

 追放したやつらに復讐するため、神を殺す存在をほっしていた。



 そこに、ヒカゲが目をつけられたのだ。



「全てを食らう天衣無縫のケモノ! こいつがあれば、神々はあっというまに全滅でしょう! ふふふ……最高だ、ひかげくん! 君は最高のモルモットです!」



 その様子を見ていたベルナージュが、シュナイダーの首をはねる。

 だが……クビだけになったシュナイダーはにやりと嗤う。



「無駄ですよ、ベルナージュ。これは私の本体ではない。無数に存在する、ネズミの群れが私なのですから」

「【そうか。だが、問題ない】」


 ……シュナイダーは目を剥いた。

 目の前に居る、竜の魔神の少女から……。



「ひ、ヒカゲくん!?」

「ああ、俺だ。焔群ほむらヒカゲだ」



 ずずずう……とベルナージュの姿が、ヒカゲへと変化する。



「ば、馬鹿な!? いつの間に……!」

「あんた、俺の本職を忘れたか?」



 彼は暗殺者だ。

 敵の意表を突いて、必ず殺す。それが彼の職業ジョブ



「まさか……! 最初から、ベルナージュは! 本体じゃなかったのか!?」

「そのとおり。最初からおまえを見張っていたのは、ベルナージュに変装した俺の分身体だ」



 ……本物のベルナージュは木花村このはなむらに存在する。

 シュナイダーは、ヒカゲに注目するあまり、ベルナージュが偽物である可能性に気づけなかったのだ。



「やっと、隙を見せたな魔神」



 ヒカゲは天衣無縫の衣を纏っている。

 全てを食らう、白きケモノ。



 全てとはすなわち、全てだ。

 たとえばこの世に無数に存在する、シュナイダーの分身体をも食らうことができる……。



「い、いやだ……! いやだ……! 私は死にたくない! 死にたくないぃ!」



 シュナイダーは追い詰められていた。

 白きケモノに全てを食らわれて、あとはこの本体を残すのみ。



 これを食らわれたら、もう消滅してしまう。



「おまえが全部仕組んだんだってな。聖騎士どもをそそのかし、黒獣討伐に向かわせたのとか。周りの奴らが木花村このはなむらをねらうようにしくんだのも、てめえだ」



 すべては神殺しを作るための実験だった。

 そういって、ヒカゲが許してくれるはずもない。



「お、お願いしますヒカゲ様! ご理解ください! 私は、あなた様を強くするためにあえて!」

「……黙れ」



 ごごご……とヒカゲの白い衣のが変形する。

 ケモノの顎へと変形し、シュナイダーの目の前までやってきた。



 ……死が、目の前にあった。



「エステルたちの平和を脅かす悪は、俺が食らう」

「ひいぃいいいい! お助けぇええええええええええええええ! わ、私はただ神に復讐を……!」

「てめえのくだらない復讐に、周りを巻き込むな」



 白きケモノが大きく口を開くと……。

 そのまま、ばくり! と飲み込んだ。



 ……黒幕は完全に消滅した。

 黒獣を悪だとそそのかしていた存在は消えたのだ。



 ヒカゲは息をついて、その場をあとにする。

 空を飛びながら、愛しい彼女のもとへとむかう。



「ひ~~~~~~~~~か~~~~~~~~げ~~~~~~~~~く~~~~~~~~~~~~~~~~ん!」



 やがて、木花村このはなむらが見えてきた。

 エステルが笑顔で、両手を広げて、待ってくれている。



 ヒカゲは地面に降り立つと、彼女の胸の中に飛び込んだ。



 ふたりは抱き合って、笑い合う。



「ただいま」「おっかえり!」 

次回、最終回です。

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