115.
黒獣と合体して、新しい姿を手に入れた俺。
竜一との最後の戦いに挑んでいた。
「グラァアアアアアアアアアアアアア!」
黒いケモノのように叫ぶと、竜一が特攻してくる。
地面をえぐりながらの、超高速のチャージ。
しかし……。
ガキィイイイイイイイイイン!
「ぐ、ぐぎゃ!?」
「あんだありゃ……! 竜一が、途中で止まってる!?」
次郎が驚いている。
そりゃそうだ、俺もまた驚いてるのだから。
俺にぶつかる直前、竜一の動きが止まる。
それはなにか、見えないものに行く手を阻まれてるように見えた。
俺は唐突に理解した。
俺の身に纏っている、白い衣の効果であると。
「障壁? いや……そんなちゃちなもんじゃあねえな!」
「そう……これが新しい俺の力か」
竜一が一度下がって、再び突撃してくる。
だがさっきと一緒だ、見えない何かに阻まれている。
「いったいなにが……?」
「答えは、俺のみに纏ってるこの衣装にある」
「なに……? なっ!? 衣が……変形してるだと!?」
そう、俺の纏っている白い外套が、変形してた。
マントは粘土のようにのび、先端はまるで黒獣の口のように開かれている。
「マントが……変形してるのか!」
「そのとおり。俺はどうやら、黒獣を纏っているようだ」
「黒獣を身に付けているだって!?」
俺の内側にいた黒獣を、外に呼び出し、そのうえで俺は身に纏っているのである。
影の体をしている黒獣を、まとうことで、こいつを影のように変形させることができるようだ。
そしてこの黒獣は、全てを食らうらしい。
文字通り全てだ。
黒獣は、竜一の攻撃が持つ【威力】を食らっているのである。
勢いといえばいいか。
「黒獣は何でも食らう……だから、相手の攻撃の威力すら食らうのか……は、反則過ぎるだろ」