105.
《ヒカゲside》
くそ、急に竜一の力が増幅した。
なんだあれは……?
たとえるなら、魔神。
あいつらと同じプレッシャーを感じる。
「グラァアアアアアアアアアアアアアア!」
獣のように荒々しい雄たけびを上げながら、勢いよく、竜一が突っ込んでくる。
俺は影の触手を作り、奴を捕縛しようと試みる。
「ガァアアアアアアアアアアアア!」
「! こいつ……力で無理やり引きちぎりやがった!」
なんてことだ。
闘気で強化した影の触手で、やつを止められない!
縛り付けて動けなくしようとしたのだが、そんなのお構いなしといったかんじで、イノシシのように猛進してきた。
結果、触手は引きちぎられて、そのままの勢いで体当たりを食らう。
「がはっ!!!!!」
俺は影の鎧をまとっており、大型動物に襲われようが、魔族による攻撃を受けようが、ノーダメにできる。
それくらいの防御力がある鎧を……。
やつは、突進することでぶちやぶってきたやがった。
俺は後ろに吹っ飛ばされながら、地面に転がる。
「げほっ! がはっ!」
口からは血が漏れる。
おそらく……内臓をやってるだろう。ろっ骨が折れたのか、呼吸するたびに息が苦しくなる。
『ご主人様!』
ヴァイパーが心配してくる。だが、大丈夫だ。
彼女には結界の維持を任せている。
俺と竜一の戦いを、邪魔させないための結界だ。
彼女が加勢しようとしてくるが、俺は手で制する。
これは俺の仕事なのだ。