103.
なんだ……?
竜一の体が黒く染まりだしたぞ。
嫌な予感がする……。
俺は暗殺者だ、今までたくさんの的と相対してきた。
そして、無理な戦いは決してしてこなかった。
暗殺者とは、必ず殺す職業だ。
無理な戦いは決死してしない。
引くときは引く。
そのときの判断基準は、言語化できない。
ただ生存本能に任せる。こいつに戦えば死ぬ、こいつならやれると。
……その本能がささやいてる。
目の前で、黒く染まっているこいつは……。
今、とてつもなくヤバい存在になりかけていると。
「っ! くそ!」
俺は手遅れになるまえに、攻撃をしかけようとする。
転移、からの後ろからの攻撃。
だが……俺の攻撃が通ることはなかった。
……気づいたら、俺は地面に倒れていた。
「がはっ!?」
なんだ!? なにが……がはっ!
「ご主人様!?」
影からヴァイパーのやつが出て、治癒魔法をかけてくれる。
死ぬところだった……本当にやばかった。
「グルラァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
竜一が黒く染まった鎧をみにまとい、ケモノのような雄叫びをあげている……。
その姿はまさしく、狂戦士。
……やばい、そう、俺のなかの生存本能がささやいていた。