100.
俺は竜一を背後から、刀で突き刺した。 どさり、と彼は倒れる。
その間に俺は影の触手でぐるぐる巻きにする。
「急所は外してある。死にはしない」
「ば、馬鹿な……なぜ……わが極光剣の能力による影響を受けなかった……?」
「極光剣……ああ、おまえの神器の名前か」
名前から察するに、七つの能力があったっぽいな。
全部出される前に制圧できてよかった。
「簡単だ。影響は受けていたよ。ただし、俺の作った囮にな」
やつの能力は、複数併用ができない。
ならばその能力を逆手に取った。
すなわち、影の囮をつくり、そいつを対象に重力操作の能力を使わせる。
その隙をついて、影に潜って裏から攻撃した次第だ。
「おまえの能力は確かに強い……だが、いかに道具が強かろうと、その使い手が道具を十全に使いこなせてないと意味が無い」
多分竜一は今までどんな敵も、真正面から、あの極光剣で粉砕してきたのだろう。
ようは、工夫を凝らす必要が無かったって訳だ。
一方で俺の影呪法は、使い方を工夫しないと意味が無い。ただの影を操るスキルに過ぎない。
「おまえは、強すぎた。だから能力の創意工夫が足りなかった……まあようするに、おまえが強すぎたことが、敗因だな」