51話 累は友を呼ぶ
初めまして、HalToと申します。
51話です。
よろしくお願いします。
17年前
2人はそれぞれの分野で博士として活躍していた。
「フゥ…真之介、どうなんだ?医学部と合同で研究してるっていうアレ。」
蓮太郎は煙を吐く。
真之介はバイオ研究をしていた。
「ああ、順調だよ。これが成功すれば優秀で良質な家畜の量産や欠損した人体の修復などにも応用できる。生命の革命が起きるよ。」
真之介は楽しそうに話す。
「そうか、それは良かった。」
「レンタローこそどうなんだ。ミタマに関すること。」
蓮太郎はミタマに関する研究を行っていた。
「調べれば調べるほどいろんなことが分かってな。まあ1人でやる上にほぼ予算の下りない状況だから大変なんだが。」
「ほう…例えば?」
真之介は訊く。
「耳貸せ。」
「ん?」
蓮太郎は耳打ちをする。
「君が死人だってこととかな。」
「!?」
真之介の表情が強張る。
「そ、そうか。それは論文に書くのか?」
「ああ、全部纏まったら発表する。そしたらゆっくり話そうぜ。」
蓮太郎は肩を叩く。
「あ、ああ。ゆっくりな…。また聞かせてくれよ。」
蓮太郎はその場を去ろうとするが振り返る。
「あ!そうだ…今度子供が産まれるんだよ。」
「…え?そうなのか、名前はもう決めてんのか?」
真之介は訊く。
「もちろん。男なら「ソウスケ」、女なら「マユ」ってつけようと思ってる…煙草やめなくちゃな…。」
蓮太郎は笑顔で言う。
「いい名前だな。」
「そうだろ、君もそろそろ彼女の1人でも作って結婚しろよ。いいぞ、結婚は。」
真之介は苦笑いをする。
「フッ、何回目だ、それ。」
「また会おう。友よ。」
蓮太郎は去る。
「じゃあな。」
その数ヶ月後、息子「ソウスケ」が誕生し、論文も発表間近となった。
「悪いな、レンタロー。こんな忙しい時期に。登山なんか誘って。」
2人は車で3時間程の所にある山に来て、切り立つ崖から森を眺めていた。
「いや、いいんだ。丁度ひと段落したとこだしな。君がここに誘うときってのは大抵なんかあった時だ。」
蓮太郎は真之介の方を見る。
「ああ、その通り。流石は俺の親友だ。」
「…で?何があった。」
真之介は語りだした。
自分たちの行っていた研究が国から倫理的な理由をもって予算を打ち切られたこと、大学などの機関からも研究の中止の命令が来たこと、そして学会からもタブーだと非難されたこと。
「そんな…。」
「あと…研究の代表者が学会から除名…つまり追放だ。ついでとばかりに博士号も剥奪されるらしい。」
真之介は笑う。
しかし、彼の目は笑っていなかった。
「研究の代表ってつまり…。」
「ああ、俺のことだよ…大学入学時と扱いがここまで違うとはなっ。」
真之介は石を投げる。
「そうだな…仲良くなったのも君の名前が知れ渡ってたのが大きい…。」
「そんなことはねぇよ!」
真之介は蓮太郎の背中を軽く叩く。
「そうだよ…な?」
気が付くと蓮太郎は空中に居た。
「え…?」
混乱する蓮太郎。
遠くに見えた彼の表情は気味の悪い笑顔だった。
52話に続きます。




