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2話 幽霊の正体見たり駆れ尾花
初めまして、HalToと申します。
2話です。
よろしくお願いします。
「はぁー、てことはあれか、記憶喪失ってやつか。」
マジシャンは頭を掻く。
「あー…ならウチ来い。」
「俺の名は「橘 真司」だ。お前が記憶を取り戻すまで世話してやる。」
橘は手を差し出す。
「タチバナ…さん。えと、俺は…。」
少年は悩んだ。
「あ、名前か…なら「廻りあった記憶喪失の人」で「廻 喪介」ってのはどうだ？」
橘は言う。
「あぁ、漢字がどうかと思うが…いいんじゃないか。」
少年…いや、喪介は微笑んだ。
「ところで、それはなんだ？」
喪介は改めて訊く。
「そういえば見えるんだったな。」
「こいつは「ミタマ」の『オーバ』。触れたものと任意の物体の位置を交換できる。」
「俺はこいつの能力を使って観客の財布から金をくすねてた。」
橘は肩のあたりの空中を指さし、口角を上げて答える。
2人には30㎝くらいの道化師のようなものが浮いてるように見えている。
「ミタマ…。」
橘は続ける。
「ミタマってのは幽霊みたいなものさ。触れることはできないし、同じようにミタマを持った者「ミタマ使い」か、霊感の強いものにしか見えない。」
喪介はまたも訊く。
「俺はどっちだろう、少なくとも俺の周りにはミタマはいないし…。」
「どうだろうな、ただ霊感が強いだけかもしれないし、ミタマ使いになりたてなのかもしれないな。」
橘は答えた。その時。
「危ねぇ！！」
ドジュッ！と音を立てて拳が2人の間を掠めた。
「あー、惜しかったなぁ！？やぁっと見つけたぜぇ！！クソガキィ…。」
3話に続きます。
