6話
翌日、目を覚ますと隣にレイラが眠っていた。
そういえば、昨日ホームに返ってきてすることがなかったので、そのままベッドに横になりながら掲示板を見ていたらいつの間にか眠ってしまった。しかしなぜレイラが隣にいるんだ?
「レイラ、起きろ」
「んー、ハルおはよう」
「おはよう、なんで一緒に寝ているんだ?」
「そんなのベッドが一つしかないからに決まってるからじゃない」
そういえばベッドは1つしかなかったなと、一人で納得し起きた。
今日3日目は金策からだ、なので露店で食べ物を買いそれを朝食として食べ歩き名がら冒険者ギルドへと向かう。
冒険者ギルドは中央から北方面にあり、道からお店の中までプレイヤー達が他の地区と比べて多くいた。
たぶん地上人達が使っているであろう文字が大きく書かれている1つの建物を発見した。
「冒険者ギルドはここかな、色々な人が入っていっているみたいだし」
「そうね、文字でも冒険者ギルドって書かれてるし」
レイラは地上人の文字を読めるらしい。
さっさと依頼などを受けるために建物に入ると外から見た時と違い木造の古い建物と思っていたが、中は小綺麗になっており、イメージで人の喧噪でうるさいと思っていだがそれなりに静かであった。また、建物はかなり奥行きがあり奥を覗くと酒場のようになっていた。
依頼の受け方を聞くために受付に並ぶと、すぐに順番来た。そして依頼を受けるにはギルド登録をしなければならないらしい。ちなみに他のギルド、商人や魔術師といったものも併用して登録できるとのことだ。
ギルド登録をするときは水晶に触り名前を言い小さい銅色の金属のカードを貰った。金属カードの色によってランクが分かるらしい。
依頼を受ける場合、指名依頼以外は受付から依頼を受けずに掲示板にある依頼を確認してその内容が達成していれば依頼者から依頼達成の証を貰うか、ギルドの受付に納品アイテムを必要数渡すことで報酬がもらえる。
ギルド登録もすぐに済ませ、建物の中にある掲示板を見ると”ピコン”と音が鳴りメニューにあるクエストが赤く光った。
確認をすると、タブに遂行可能クエストと受注中のクエストと書かれており、そのうちの遂行可能クエストが赤く光っていた。
中身を確認したら採取依頼に魔物退治、地域調査にお店の手伝いと街中の警備の手伝い、街掃除か色々あるな、クエストが達成できそうなものだけ覚えといてそれ以外は達成できていたらついでに報告すればいいな。
「それでハル、街の外まで来たのはいいけど、なんのクエストをやるの?」
「採取系のクエストを主に薬草系のをやるつもりだ、魔物討伐は相手から襲ってきたら戦えばいいだろ」
「採取系ね、それは分かったけど。薬草の見た目知ってるの?それと薬草ってこの草原にあるの?森の中に生えてるイメージなんだけど」
「薬草の見た目はクエスト表示したからわかるぞ、生えてる場所はどこなんだろな…」
東門から街の外に出た俺たちは、他のプレイヤー達の戦闘の邪魔にならないようにしつつ薬草が生えていないか探しながら彷徨い歩いた。
薬草が見つからないまま、探し続けていたら探すのに途中から飽きて鼻歌交じりに歩いてるだけのレイラしかいなかった。
「あー、レイラさん?薬草探し飽きてしまいましたか?」
「うん、飽きた!」
今まで一番の笑顔を浮かべる可愛いから許す。
たしかに、ただ下を向いて歩いてるだけだし、ここら辺の魔物は遭遇してもあちらから襲ってくる様子もないせいで、緊張感もないし飽きるか。
「それなら一旦薬草探しはやめて魔物と戦うか?」
「魔物退治ね!いいわね、どうせならあそこに見える森まで行きましょう!」
「あの森か、まぁいいか」
森まで来たにはいいが俺はあることに気が付いた。
「あ、俺、武器もってないじゃん」
「大丈夫よ、ハル。私がいるじゃない!私が全部倒してやるわ」
「うーん、しかし心配だなぁ、釣り竿で殴っても竿が折れるだけだろうし」
「仕方ないわね、はいコレ」
レイラがそこらへんに落ちていた太めの木の枝を俺に渡してきた。
「これで殴るの?」
「うん、私が全部倒すんだから、ハルはそれでも持ってればいいの!」
レイラは魔法も使えるし、俺はまだ一度も戦闘したことないから頼もしいな。すこし心配だけど。
森に入り、直ぐに1メートルくらいの大きなリスを発見した。
「よし、レイラ頼んだぞ!」
「まかせて!『ウォーターカッター』!」
レイラがリスに向かってぶつかるギリギリまで突っ込んでいき、手を降り下げる動作をなぞる様に水の刃が出現しリスを真っ二つにした。
「どう?ハル、私の力は!」
「あ、あぁすごいな」
てっきり水の球を出して攻撃したりするかと思ったのだが、殺傷能力の高そうな攻撃方法に驚き、レイラがリスの返り血を浴びていて怖かった。
そういえば論理コード全解除設定で始めていたからなのか、リスの中身まで見えていた。グロイよ…。
真っ二つになったリスに触れると、【そのまましまうか】、【アイテム化するか】の選択肢が出現した。
この選択肢で何が変わるのだろうか、分からないからとりあえず【そのまましまう】を選択といた。
「この調子でもう1体いけるか?」
「ふふ、任せて!たぶんあと2,3回はさっきの使えるから!」
「ん?あと2,3回しか使えないのか?」
魔法だから何十発も使えないのか。
「ええ、無理をすればもう1,2発追加で打てるけど、その時は魔力がなくて倒れるわね!」
「ふーん、魔法って使いすぎると倒れるのか」
初めて知った、俺は魔法なんて使えないから別に関係ないけどね。でも使ってみたいな魔法。
その後、また先ほどと同じリスを発見しレイラがさっきと同じように魔法で真っ二つにした。
「なぁ、レイラまだ魔法が使えるならもう1体いいか?それと次は少しだけ俺にも戦わせてくれ」
「魔法はまだ使えるし、また私が戦えばいいんじゃないの?」
「そうだけど、まだ1度も戦ったことないから戦ってみたいんだよ。危なくなったらレイラならすぐに助けてくれるだろ?」
「そういうことなら、まぁいいけど。危なくなったらすぐに助けるからね」
リスを探す道中に薬草や薬草っぽい草を見つけて採取しつつ探すと発見した。
「よし、じゃあいってくる!」
「気を付けてねー」
俺はリスに向かって走り跳んで思い切り蹴り飛ばそうとしたが、リスが少しだけ、くの字に曲がるだけだった。その行為に怒ったのかリスがこちらに向かって威嚇しつつ襲ってきた。
俺を噛みつこうとしてきたのか口大きく開けて噛んでこようとしてきたので、それを防ごうと枝で防ごうとしたが枝が折れて左腕を噛まれてしまった。
「いっ…、痛くないな」
リスに先ほどから噛まれてるが噛まれている部分はボールペンの芯を出していない状態で突かれているような感覚がするだけだったが、だんだんと視界が真っ赤になってきた。
視界の半分以上が真っ赤になるくらいに、レイラが大慌てで駆けつけてきてリスを魔法で真っ二つにした。
「ハル!?大丈夫っ!?」
「視界は真っ赤だけど大丈夫だぞー」
俺は初めて戦闘を経験して分かったことはちゃんとした武器じゃないと戦えないということと、おそらく視界全てが真っ赤になると戦闘不能判定になるかもしれないということだ。
魔物3体と薬草採取を成功し、レイラはもう魔法が使えないため、これ以上の戦闘はできないと判断に俺たちはファーテスの街へと帰還した。