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19話

 イベント6日目、お昼を知らせる花火が鳴り響き少しだけ静かだった宿の前の街道に時間が経つごとに、多くの地上人やプレイヤー達がお昼休憩のために建物や街外から食事処が多く並んでいる通りの方向へ向かっていた。

 俺たちはヒノキの宿でダラダラしていて、先日の金策という名の魔物狩りの疲れを癒すため今日は街からなるべくでないことにしようと決めていた。勿論ダラダラしている間も常時無魔法の球を1つだけ発動して魔力が切れるギリギリまで出して、暇な時は適当に形を変えて遊んでいた。

 

「ねぇ、今日はなにするの?」

「特にしたいことがないから、街中の散策かね」


 宿の人に用意してもらった塩味のお煎餅っぽいお菓子を食べながら今日の予定を考える。今日は本当に疲れるようなことをする気が起きないため適当に時間を潰すつもりだ。


「それなら家具とか売っているか見に行かない?ほら昨日プレイヤーホームのことで盛り上がったし」


 家具ねぇ、たしかに自分たちの家の中身が充実して便利になれば帰る楽しみも増えるか。今って机とイスしかなかったもんな。


「売ってるかは分からないけど家具を見に行くか」

「うん、行こう!」

「でも出かけるのはもう待ってほしいな?まだ菓子を食べたい」

「ハル…」


 悲しそうな目でこちらを見ないでほしい、この菓子がおいしいのがいけないのだ。


 あの後、菓子を10枚目食べようとしたあたりでレイラに没収されて強制的にダラダラを終了された。後、5枚くらいは食べたかった、お茶と煎餅の魔力には勝てないんだ。


「家具屋ってあるのかねぇ、なんとなくなさそうな気がする」


 ここって一応イベント会場で元の世界で運営している地上人達のお店ごと転移させてるのだから必要最低限のお店しかなさそうな気がするんだよな。

 小腹が空いたから食べ物を注文するついでに屋台の恰幅の良い中年の男性に家具が売っている店があるのか聞いてみるか。


「おじさん、串イカ2本頂戴」

「はいよ、串イカ2本ね。少しだけ待っててくれ」

「はいよ、それと少し聞きたいことがあるのだけど。この街に家具を取り扱っているお店ってない?」


 網の上に焼いてあるイカに手慣れた手つきでタレを塗りながらこちらの問いに答えてくれた。


「家具屋は見たことないなぁ、おじさんもこの街全てを見回ってるわけじゃないからもしかしたら隠れた場所にはあるかもしれないけど、少なくともこの大通りの場所にはないのはたしかだよ」

「うーん、そうか。ありがとう」

「こちらも役に立たなくて済まないね。はい、串イカ2本。家具屋は見たことないけど、木材系のアイテムを生産してる店に行けばもしかしたら作って貰えるかもね?」


 木材系のアイテムを生産しているお店ねぇ…、どういうお店にあるのか。武器屋とか防具屋は金属類しかないだろうし…、適当にお店を回るか。

 グリーンショップという名の道具屋もとい雑貨屋に訪れた。店の中には客はおらず初老の男性店員が1人だけおり何かの作業していたが、こちらに気がついてこちらに近づいてきたために聞きたい事を訪ねた。


「すまないねぇ、家具類は取り扱ってないよ。それと家の店は決まったアイテムを生産職から入荷して売ってるから注文は受け付けてないんだよ」

「そうですか、分かりました」

「物を売っている身としてこんなこと言うのもあれなんだけど、自分で作ってみるというのもいいかもしれないよ。あわよくば出来が良いモノを売って貰えるとありがたいからね」

「自分で作るですか、作る場合に誰かからコツを教えてもらえそうな人とかっていませんか?」

「店に入荷してきてくれる生産者はこっちの街にはいないから…、私が言い出しっぺだし、この簡単な作り方の教本と必要そうな道具も1メダルでいいよ。今回だけの特別だよ、今度からは正規の値段で買ってね。それと木材とかは自分で採ってきてね」


 店員に礼をしつつメダルを渡しお店から出た。


「よかったねハル、後は材料だけだね」

「だな、あとは材木か。森から適当に木を切ってくればいいか」


 今日は街から出たくなかったのだが木材のためだから仕方なく砂浜近くの森へと向かう、途中魔物と遭遇するが相手にする気がまったくないから走って振り切る、蟹だから振り切るのは容易だったがいつもより大きい個体だけがしつこく追ってきたから、最近覚えた重力の魔法で蟹の重力を弱くして無魔法の棒で海へと撥ね飛ばした。

 ちなみに重力魔法は対象を重くしたり軽くすることができるのだが、実験として砂浜で俺自身に軽く重力をかけて強くしたり弱くしたのだが、魔法をかける量が少なくても魔力の消費量がかなり多くて30分程度が限界だった、たぶん全力でやると3分持つか持たないかくらいだろう、魔力が切れて動けなくなるのは困るから試してはいないけど。

 その後、無事に森まで辿り着き、適当に丈夫そうな木をレイラの水の刃で何本か切り倒し、アイテム化してからインベントリにしまう。

 

「これだけあればいいよな」

「だね、さっさと戻ろうよ。さっきの大きい蟹がまた来たら面倒だよ」

「そうだな」

 

 魔力量的に3分の1くらの量しかない感じがするから、速やかに退散するとしよう。今のランクで重力魔法使うのは疲れる。


 一旦、宿の自室へと戻り、購入した簡単な作り方の教本を読むことにした。


「初心者天上人用生産ガイドねぇ…」


 読んでみると棚やテーブル、椅子などの作り方が載っていた。


「うーん、それなりに簡単そうな感じなのか。ある程度は補正つくから変に凝ったものを作ろうとしない限りは失敗しないのか」

「どう、できそう?」

「やってみないと分からないけど多分作れるんじゃないかな、作るならここだと木くずとかで汚してしまうからプレイヤーホームに行くか」


 街中央にあるゲートからプレイヤーホームに転移できるらしい、久しぶりに自分のプレイヤーホームへと向かうことにした。








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