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16話

 海でトレジャー探索をすれば1つや2つは簡単に見つかるだろうと考えていたが、そう都合よくいかないみたいだ。岩場の多い岸を探しているが出てくるのは魔物だらけで探す暇がない。

 岩場に生息している魔物はアイアンヘッドとブルークルヴェッという海老型だ。俺では魚型の魔物アイアンヘッドに攻撃を当てることすらできないため、ブルークルヴェッの方を主に相手にしている。こいつ相手に攻撃や、回避をすることができる程度の立ち回りはできているのだが、如何せん俺の攻撃の威力が低いため長期戦になってしまう。魔法も火属性しか持っていないため水中では役には立たずもどかしい。


「ねぇ、ハル。水魔法覚えない?」

「水魔法をか?水中の魔物に効果あるのか?」

「んー、ある程度魔力を込めないと火力としては期待できないかな、私が勧めたいのは水魔法があれば多少は水中での機動力が上がると思うの。意識して使ったことなかったから忘れてたのだけど、私たちローレライやマーメイド、マーマンって戦闘中身体に水魔法をかけているの、だからハルも水魔法を体にかけることができれば機動力や火力が上がると思うの」


 水魔法を体にかければ動きやすくなるのか、俺が使いこなせるかは置いといてやる価値はありそうだ。すぐに使いこなせなくてもいつかは使えるようなればその時は戦闘もうまくできると信じて。

 無意識で魔法をかけていたという話を聞いて、ついでに聞いてみたいことをレイラに聞いてみた。


「なぁ、レイラが水中で言葉を話せるのも魔法なのか?」

「半分正解で半分はずれかな。私たちは魔法なしでも水中で言葉を話すことはできるの、でも遠くまで声は届かないから音魔法を使って遠くの同族にも声が届くように工夫をしているわ」

「ふーん、そうなのか。音魔法さえあれば俺でも水中で会話ができると思ったいたけど、はずれか」

「変な声にはなると思うけど会話できるとは思うよ?」

「そうなのか?」

「腹話術的な感じで喋るの、とは言ってもこれもそれなりの魔法技術がないとできないから訓練ね」


 どちらの魔法を使うにも訓練は必要か、でも水中でレイラと会話できるようになるのは楽しみだ、さっさと500コイン集めて使いたい。

 アイアンヘッドとブルークルヴェッを1匹ずつそのままインベントリにしまい、残りの倒した魔物たちはアイテム化にした。アイテム化にするとアイアンヘッドは鉄の鱗、魚の骨。ブルークルヴェッは大きな鋏をドロップした。


 休憩としてギルドに換金とスキルスクロールを買いに街へと戻る。

 討伐報酬は両方とも1匹4メダルだった。蟹の2倍の額で驚いた、アイアンヘッドはともかくブルークルヴェッは蟹と同じか弱いくらいなのに報酬が多いのだ。少し気になりギルドの受付にそのことを聞くと、単純に海の魔物を倒す人があまりいないためらしい。そのためか、海の魔物の素材があるのなら高く買い取ってくれるとのことだ。レイラは食べる量が減るのを嫌がっていたが、アイテム化していないブルークルヴェッを1匹丸々ギルドに売った。

 額は討伐報酬で8匹倒して32枚、魔物の買い取りで10枚だった。


「合計で42枚か、かなりの稼ぎになるな。これならトレジャーが見つかれなくても、魔物倒して納品するだけでも500枚以上は稼げるかもな」

「私が食べる部分を削らないで!」


 レイラが挙手をして生徒のように発言してきた。どうも、レイラは魔物、魚介類たちを食べたいみたいだ食いしん坊め。


「食材確保もするけど、先に俺の戦うための力を付けさせてくれ、少しでも俺が強くなれば今後美味しい肉体で強い魔物を狩るとき楽になるからさ」


 手を合わせて軽く頭を下げながらお願いをすると、少しだけため息をしてレイラが折れてくれた。


「なるべく早く強くなってよね…、私もハルが強くなってくれるのはうれしいから。……でも食材、いや、ハルが強くなればもっと簡単に手に入るのよね」


 レイラも承諾してくれたし、早く強くなるために水のスキルスクロールを購入し、屋台で美味しそうなものを貰いそれでレイラのご機嫌取りをしながらまた海へと戻っていった。


「今手持ちのメダルは30枚だ、5匹倒して納品まですれば無魔法は買えるから頑張ろう」

「ぅー…、んー、よしっ!!頑張る!!でも魔物討伐前にハル、水魔法多少でもいいから使えるようになろうね」

「おぅ、わかってる」


 砂浜でスキルスクロールを広げ中身を見た。その瞬間スキルスクロールに書かれているモノが俺の中に取り込まれ、水の魔法を使い方がなんとなく分かった。


「覚えたけど、どういう感じで身体にかければいいんだ?」

「んー、言葉でいうのが難しい。多分、身体に水の膜を張る感じ?かな。考えないで感覚でやるの!ほら水中へゴー!!」


 レイラに手を引かれながら水中へと潜り、水魔法を実践してみた。しかしイキナリ水の膜を体に張る感じと言われても全くやり方がわからない。

 水中でレイラにやり方分からないとジェスチャーと表情をすると、レイラがその場で一回転して俺に引っ付いてきた。レイラがくっ付いてきて何がしたいのか分からないため、ジッとしていると。ふと身体の感覚が変わっていった、水中にいるはずなのに陸地にいるような抵抗感のない感覚だ。腕を動かすと水の抵抗を殆ど受けずにふることができる。

 水の膜を体に張るとこういう感じになるのかと感動し、水の膜の感覚が何となく分かったため、残念だがレイラに少し離れてもらい訓練しはじめた。

 感覚が良く分からなくなってきたら、レイラの手を握る。そうすると抱き着いてきて、少しすると身体が軽くなってくる。

 やってもらうと簡単に感じるけど、自分ひとりでやると中々上手くいかない。


 何度目かの酸素補充のために海面に顔を出し、休憩をする。


「全く上手くいかない…」

「ハルはどういう感じでやろうとしているの?」

「どうって、全身に水の服を着る感じでやっているけど」

「それならさ、初めから全身全てでやらないでさ、腕が足のどちらか片方から初めてみたら?」

「1本ずつか、物は試しだ。足からやってみるよ」


 レイラに腕だけ膜を張ってもらい、その感覚を足でもどうにかできないかやっていたが日が暮れる時間までにはできなかった。




 足1本くらいならできると思ったんだけどなぁとため息をつきながらヒノキの宿で夕食を頂く。レイラに焼き魚の一部を上げて、代わりに果物を交換しながらどうすればうまくいくかを考えていた。

 飯を食べ終わる頃合いに、カツがこちらにやってきて、俺の対面へと座った。


「ハルすまないな!!今日、一緒できなくて」

「おう、気にするな、明日からなんだろコロシアムは」

「まぁな、それでなんで、ため息ついていたんだ?」

「魔法がうまく使えなくてな」


 カツの飯を食っているところを眺めつつ、暇そうにしていたレイラに膝枕しながら今日の事を説明した。なんか俺の膝からうめき声が聞こえてくるが無視だ。


「ふーん、水の膜を体にねぇ…。なぁ、ハルって魔力操作ってスキル覚えているか?」

「初めて聞く、そんなスキルあるのか」

「あぁ、俺も少し前に野良でパーティ組んだ時の魔法使いに教えてもらったんだ。確か、ある程度なら魔力操作スキルなしでもできるんだが、精密に動かすには必要らしいぞ」

「まじか…」


 初めて知った、俺がしていることもこのスキルが必要なんだろうな。だけど、少し気になることもある。


「なぁ、それならなんでレイラは魔力操作なしで水の膜つくれるんだ?」

「俺に聞かれてもしらねぇよ、魔力操作のスキルのことが気になるなら。魔法関連の掲示板か、魔術ギルドで聞くのがいいと思うぞ」


 明日、ギルドで話を聞こうと決めて、その後、他愛のない会話をしてお開きにした。


 顔を真っ赤にしてずっと固まっていたレイラを持ち上げて自室へと向かった。レイラが何かを言っているが聞こえないふりをする、慌てるレイラが可愛いのがいけない








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