13話
「よう!ハル楽しんでるか!」
金髪の頭の上に赤い小竜を乗せている男が俺たちに話しかけてきた。
「楽しんでるよ、カツ。そっちも楽しんでるな」
銅色の鎧を着こんで背中に大剣を背負っており、それなりに似合っている格好だ。
俺とレイラでどうやってメダルを稼ぐかを話し合ってる時に、カツからチャットが来たのだ。
「久しぶりの和室だ、リアルでも和室なんて実家に帰らないと味わえないし最高だ」
「それならカツもこの宿を拠点にすれば?もしかしたら和室好きの他のプレイヤーも来るかもしれない」
「そうだな、ちょっと先に部屋借りてくるわ」
カツがドタバタと部屋から出て行ってしまった。
「賑やかな人だね」
「元気だよ、五月蠅いくらいにね」
カツが戻ってくるのをお茶を飲みながら待っていると、レイラと赤い小竜のセキが仲良く和菓子を食べながら話している。セキはギャウギュウとしか言ってないけどレイラに通じているのだろうか、会話が成り立ってるようにみえるからセキの言葉が理解できているのだろうけど、なんかシュールだ。
10分程度待っているとカツが戻ってきた。
「すまんな、またせたまたせた」
「おう、大丈夫だ。その様子だと部屋は取れたっぽいな」
「あぁ、1階の露天風呂付きの部屋はもう取れなかったけど、2階の角部屋をゲットしたぜ。多分この上だ」
この宿は何部屋あるのかは分からないけど、もうそれなりに他のプレイヤーもここに来ているのか。
「さて、俺たちはさっきまでメダル集めをどうしようか話してたんだけど、トレジャーを主で魔物退治はできればって感じにしてるんだけど。カツ何かあるか?」
「俺はコロシアムと魔物退治にしようと思っていた」
「コロシアム?」
「あぁ、ハルはまだ公式の掲示板見てないのか」
「公式?」
公式って、あの掲示板全て公式のものだと思ってたんだが外部に繋げることなんてできないし。
「運営が直々に開いたイベント専用の掲示板だよ。とは言ってもコロシアムの受付と対戦表を見やすくするためにと、ダンジョンRTA、生産、料理対決とかだな。ほかにあった気がするけど忘れた」
「なんか色々あるんだな」
「で、コロシアムはパートナーを入れて2対2とプレイヤーのみシングルだな」
「ふーん、パーティはないのか」
「今回はないみたいだな、まだ始まってばかりでパーティ戦なんて面白くなさそうって運営の掲示板で運営側が記入してたからな」
「運営もぶっちゃけるなぁ…」
「それで俺はソロで出るつもりだ」
「セキは参加させないんだ」
「まだ、戦いになっても弱いしな」
セキが肯定するかのようにぎゃうと一鳴きして腹を上にして寝ころんでいる、自由だなのこの竜。
「なら、カツがコロシアムで順番じゃあない時はパーティ組んで魔物退治するか、トレジャーは1人の時にすればいいし」
「こっちはそれで構わないぜ」
「コロシアムでの順番っていつなんだ?もう参加受付してるのだろ」
「してるぜ、予選が2日後なんだよ」
「なら今日、明日は魔物退治するか」
「おう」
一番近くの砂浜に来ていた。
「ハル、お前まだ初期装備なんだな」
「そうだぞ、装備変えると結構変わるか?」
「かなり変わるぞ、さすがに顔面とか攻撃受けたらかなりヤバイけど鎧部分に当たると結構衝撃抑えてくる、もし装備買う場所で悩んでいるのなら知り合いの生産職を紹介するぞ?」
「必要になったらお願いするよ」
まだ一度も防具装備変えてないからどこまで変わるか実感できてないから、旅するのがきつくなったら変えてもいいかも。
「さっきは宿で感動してたから忘れてけど、そのカワイイ女の子がパートナーだよな?なんの種族なんだ」
「ローレライだよ、名前はレイラ。レイラなしだったら旅なんてまともにできないほど優秀だよ」
「ふーん、ローレライね。珍しいものを選んだな」
レイラがカツの方に向き会釈をしながら、顔が照れていた。地味に背中をたたくのはやめてほしい、痛い。
「それでなんで海の方に来たんだ?」
「一番近かったから、それと水辺の魔物とか出てきそうじゃん」
適当に砂浜を歩いていると、大きな蟹がいた。
「蟹だな、こいつ魔物でいいんだよな」
「魔物ですね、色々な砂浜でよく出没する蟹の魔物でジャイアントクラブですね。大抵のジャイアントクラブは1,2メートルくらいですけど、大物になると、10メートルくらいまで大きくなりますね。後、一番重要なことがあります。」
「…なんだ?」
俺は唾を飲んでレイラから次の言葉を待った。
「この蟹かなり美味しいのですよ。色々な砂浜で出没するくせに美味なんですよ、焼くのも茹でるのも美味しいのですよ!!」
「美味しいのか、それは重要だな。倒して喰おう」
「はい!」
「凄いな…、お前ら」
まだ、ジャイアントクラブはこちらに気が付いてない様子なので、俺以外は立ち止まってもらい、鉄の槍を構えつつ、ゆっくりと距離を詰めていって一跳びで詰められる範囲まで詰め、足に全ての力を込め一気にジャイアントクラブへと跳んだ。
ジャイアントクラブにがこちらに気が付いた時には俺の槍の攻撃範囲で、一気に槍を振り下ろした。胴体真っ二つにすることはできないと思ってたからハサミを切断して、戦力を落とすつもりでハサミの根元を狙った。
できればハサミ2本とも潰したかった。流石に無理だったがハサミと足1本を落とす。
「ナイスだハル!後はまかせろ!!」
「おう、任せた!!」
一気にカツが大剣を構えながらジャイアントクラブへと突っ込んでいった。ジャイアントクラブがカツをハサミで切り込んできたが、カツの大剣を振り下ろす速度の方が速くハサミごと切り飛ばした。
「ははは!狼の動きに比べれば遅い遅い遅いっ!!」
『ぎゃう!』
カツが妙なテンションで戦っている、それとセキはあんまり戦力にならないと言っていたが体当たりしてジャイアントクラブのバランス崩したりとサポートに徹しており良いコンビネーションしていた。
ジャイアントクラブが海へと逃げようとしたところをレイラが魔法で留めを刺した。
「ふぅ、倒せた。おつかれ」
「おつかれハル。どうよオレの剣捌き!」
「うん、剣捌きかは分からないけど、剣の威力はすごいな」
「そうだろそうだろ」
「レイラもおつかれ、ナイス留め!」
「うん、お疲れ様ハル。だから、この蟹食べよ!」
「食べることしか頭にないんだな」
「だって美味しんだもん!」
「そうか…」
レイラがもう食べる気満々で、食べるまで動かなそうだ。




