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第一NPC発見?出会いはビンタから

更新。何とか年内に間に合いました。

日が落ちた山間部の道。人通りのないその道を一台の馬車が疾走する。馬二頭が引くどこか品のあるつくりの馬車だ。現地のものが見れば、馬車に刻まれた紋章からそれが由緒ある家の馬車であることが分かっただろう。

周囲が暗闇につつまれる中、馬車につるされたランタンのみが周囲をはかなげに照らす。その明かりに照らされる御者の老人の顔は蒼白その物。もとは綺麗にしていたであろう服装も乱れ、額には脂汗が浮かんでいる。そしてそれは馬車を引く馬たちも同じであった。


「じぃ!もっと飛ばせないのか!?このままでは追い付かれてしまう!」


御者席につながる窓から身を乗り出して叫ぶのは、褐色の肌に銀髪の長髪を後ろで一本の三つ編みにまとめた長身の女性だった。美女。と言って問題ないその顔に今は焦りと疲れが色濃く浮き出ていた。


「これ以上は無理でございます!馬が持ちませぬ!」


御者の悲痛な叫びにクッと下唇を噛みながらその女性は馬車の後方をにらみつける。そこには重厚な鎧を身にまとう3人の騎士が、そのさらに後方を警戒しながらおそらく必死の形相になっているであろう表情を冑で隠しながら馬を走らせている。

そのさらに後方。光が届かない闇夜の中。『ソレ』はいた。


「レン様!どうか逃げ切ってくださいませ!」


後方を走る3人の騎士。その一番後ろを走っていた男の馬に最初の暴威が振るわれる。


それは爪だった。通り過ぎるのは一瞬。しかしその一瞬で馬の後ろ脚は消え去り、支えを失った騎士はとっさに自ら馬の手綱を放し地面へ転がり落ちるとそう叫んだ。


「イワン!?」


レン様。そう呼ばれた女性は倒れた騎士の名を叫ぶ。今助ける。そう叫ぼうとした。だがその言葉が発されることはなかった。


イワンと呼ばれた騎士が立ち上がり、後方へ腰にある剣を構えようとした時にはすでに遅かった。


第二の暴威は牙。イワンと呼ばれたその騎士は鎧ごと喰われ『ソレ』の腹の中へと収められたのだった。


クッ。と女性は叫ぼうとしたその口を閉ざすが、どうしてこうなった。と小さな声がこぼれる。


『ソレ』は普通であれば出会わない類のものであった。大陸北西部。辺境と言われるアクリア地方。その周囲を囲むメルド山脈に生息している事は有名だが、そもそも本来であれば地上に出てくることはないはずであると彼女は記憶していた。

だが馬車の後方を見ればそれはそこにいる。そして自分たちに牙をむいている。どうすればいい?と考える。だが考えるが出てくるのはもはや逃げようがないという現実。


道は山間部を抜け森の中に、徐々にその先の街に近づく。だが街に行くには今走っているクザの森を抜ける必要があり、この速度でとばしても後数時間はかかる。しかも馬はもう限界が近い。


「は?」

「えええええええええええええええ!?」


そんな彼女の思考は、間の抜けた御者の声と聞き覚えない男の絶叫の後に、急停止した馬車から外に投げ出されることで強制終了させられるのだった。



                             ・



時間はいくらかさかのぼり森の中。すでに日は傾きいっそう薄暗くなっていくがどこからともなく聞こえるのは陽気な口笛と何かが切り裂かれる音。


匠は上機嫌だった。

彼が気が付いた時には目の前にはレベルが上がった事を証明するようにステータス画面が表示されていたのだが、


大神 匠 年齢/20/男

ジョブ/錬金術師Lv.2

体力45・筋力57・丈夫16・敏捷91・器用89・賢さ21・精神22・運9

固有スキル

不退転(ユニーク)

世界辞書(ユニーク)

連鎖紋章(ユニーク)

※狩人の祝福

習得魔術

無限錬金(ユニーク)


レベル2により固有スキル・習得魔術が使用可能になりました


気が付いたらレベル上がってますがな。ステータスも初期値より伸びてるし。

それにしてもスキルや魔術はレベル2で解禁なのね。サバイバルナイフを錬金しようとしてもできないわけだ。


ともかく錬金だと思うが、ひとまず所持品やステータス・ヘルプにほかの追加情報がないことを確認する

というかこのゲームシステム回りの説明がなさ過ぎて不便すぎる。やっぱ糞ゲーか?


結果、錬金自体はあっさりしていた。錬金石を用意して後はそれに錬金と念じるだけのお手軽仕様だ。

だが想像すればいい。と言われると簡単そうだがこれが案外難しい。というのも適当に創造した最初のナイフは刃がなかった。当然やり直すが次は刃を意識すると形がいびつになってしまう。

一言にサバイバルナイフと言っても様々な形のものが存在する。それを知ってしまっているから「サバイバルナイフ」だけだと色々なものが脳裏をかすめそのせいで錬金が定まらない。


無理。諦めます。


そんなわけで作りました。某オンゲでお世話になった刃物。


ククリマチェット


全長は50cm刃渡り35㎝ほど刃以外黒くコーティングされやや内側に反りの入ったククリタイプのマチェット。確かどこかの特殊部隊の仕様とかでその某オンゲの中では最強の近接武器だった記憶がある。


というかそのオンゲイメージしながら作りましたはい。そのせいで鞘ごと錬金できたのもありがたい。


ククリマチェット

装備スキル 物理耐性 魔法耐性 自己再生 形状記憶 専用 

詳細 錬金術師大神匠が作成したククリマチェット。

品質 最上位


なんかステータス出てきたんですけど?スキルまであるし…。

まぁヘルプに全部書いてあったんですけどね。


※装備スキル 物理耐性

物理属性の耐性。効果は品質に依存


※装備スキル 魔法耐性

全属性魔法の耐性。効果は品質に依存


※装備スキル 自己再生

部分破壊が発生した際に自動で欠損部位を再生。効果は品質に依存


※装備スキル 形状記憶

錬金された形状を記憶。消費された部位があれば自動補填される。効果は品質に依存


※装備スキル 専用

装備品を指定された者以外の使用ができなくなる。使用者の上書きおよび複数者の専用化には現登録者の承認が必要


要するに頑丈な専用武器ができた。ってことでいいのかね?


祝☆武器ゲット


何度か振り回して手になじむのを確認してから、左腕に鞘を固定してマップを確認しながら移動を再開したのが少し前。


いやね?ある意味超人的な肉体ゲットしたわけですよ?しかもここはゲームの世界ですよ?しかもさっきまでとは違ってちゃんとした装備まであるわけですよ?そりゃ調子にも乗りますよ。


俺TUEEE!


その後何度かゴブリンからの襲撃を受けたが難なく撃退。というかククリマチェットの性能が半端ない。

軽くふるうだけでぽんぽんとゴブリンの首が宙に舞う。おまけに適当なフェイントを踏めば面白いようにゴブリンたちは引っ掛り匠の姿を見失うのだから楽しくないわけがない。気が付けば日は傾山の影に沈んでいた


ふぅ。と一息ついてククリマチェットについたゴブリンの血を払って鞘にしまう。目の前には暗くなりつつあるにもかかわらずしっかりと見えるステータス画面。


大神 匠 年齢/20/男

ジョブ/錬金術師Lv.4

体力61・筋力72・丈夫29・敏捷112・器用108・賢さ34・精神37・運11

固有スキル

不退転(ユニーク)

世界辞書(ユニーク)

連鎖紋章(ユニーク)

※狩人の祝福

習得魔術

無限錬金(ユニーク)


ゴブリンを狩り過ぎたせいかレベルは2上がっている。敏捷と器用に関してはメイキング時の上限だった100を超えている。そしてレベルが上がるほどに体はそれを実感させてくれる。だから調子に乗って遊び過ぎたのも許してほしい。と思ってから、だれが許すんだよと自分に突っ込んだりする余裕もあった。


マップを確認するともう少し東に行くと街道のようなものがありその北に街と思しき場所があるのが分かる。今の匠のスペックであればすぐにつくだろう。


やばいわー超ヌルゲーだわー。


だからそんなことを考えながらスキップして、さらには口笛を吹きつつとりあえずと街道を目指した匠が一切注意しないで街道に飛び出したのを誰が攻められるだろうか。


…どう考えても俺が悪いんだよなー。


街道に出た。街道と言っても道はコンクリート舗装などされていないし、街灯もないので当然のように薄暗いわけだが。


そんなルンルン気分の匠の目の前に現れたのは猛然と爆走する馬車。御者席の老人と目が合った。

思わず後ろにステップしたのは条件反射だった。


同じように馬車は道をそれて匠を回避する。急なカーブをした結果馬車は横転していくらか滑った後に木にぶつかってその動きを止めた。


だがその結果はその時の匠には見えていなかった。


馬車が匠を回避したとき。馬車から匠に向かって飛んでくるものがあった。後ろに飛んでいたため空中にある匠には避けようがなかったで攻めても仕方ないだろう。


それは人の形をしてキャァァァという声付きで飛んできた。避けようがない時点で匠はそれを受け止める体制に入る。


その人と思しきものは手足をばたつかせながら匠に向かって突っ込んだ。匠の顔面に顔面から。


空中という、どうしようもない状態でそれを受け止めた匠をほめるべきなのだろう。結果的に匠に送られるのが感謝ではなくビンタであったのは、これもまた仕方がないことだったのかもしれない。


『あぁ、これが最初のイベントか』


張り手の直前匠の頭の中にあったのはそんなしょうもないことだった。

メリークリスマス!そして皆様よいお年を!

次の更新は年明けの予定です。

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