プロローグ
3人称で書いています ONとOFFが激しいのでそれが大丈夫な方はどうぞ
―4年前―
雨が降り、体が凍えそうになる冬の夜。ある、アパートの一角が昼のように明るくなっていた。それは、カメラのフラシュとライト。フラシュの中心には、警察に連れられている男の姿がある。
「俺がころしたんだぁぁぁぁぁぁ!あっはっはっはっははぁぁ!」
高笑いする男を背にに、テレビカメラで実況するアナウンサー。
「あの連続殺人事件の犯人が、ついに逮捕されようとしています。決めてとなったのは、最後の被害者……」
「許さない。許されない。悪いのは、あいつだ!」
実況の声に被さるように男性の声が響く。まるで地から聞こえて来そうな位低い。しかし、誰も気にしない。いや、誰も気にしていられない。みんな犯人を写すのに必死だからだ。
男性は拳を震わせながら呟いている。同じことを何回も何回も。そうしていると、女性の声が響く。こちらは、甲高い。
「あの子達は、悪くない。悪いのは、あの人達」
まるで子どもをあやすような声。男性は声がする方向を見る。そこには、子どもを連れた女性が立っていた。男性は顔を真っ赤にする。拳が震えているので、怒りで顔が真っ赤らしい。女性は、男性の反応を見て、笑みを浮かべる。そして、自分の連れている子どもに目を向け、それに釣られて子どもを見る。男性が子どもを見た瞬間、顔から血の気が引いていった。女性と子どもを交互に見て、逃げるように立ち去る。女性は、男性の背中に嘲笑を浴びせる。女性は、男性がいなくなっても笑い続け、それが、高笑いになり、人が誰もいなくなり、ひとりになっても笑い続けた。
そして、女性は闇の中に消えていった。子供を連れて。母親にも、父親にも似た子供を連れて。
ちょいちょい、更新していきます