砂漠のクルトと小さな友達
砂漠でうずくまった小さな魔法使いクルトは、砂の中から顔を出した小さな生き物に話しかけられました。
砂の中の小さな生き物が話せるはずがありません。
クルトは話しかけられたと思いました。
クルトにしか聞こえない声だったのかもしれません。
どちらにしろ、大きな砂漠のクルトの周りには誰もいませんでしたから、砂の中の小さな生き物は、本当は普段から話ができたのかもしれません。
「今日も暑いですね」
大きな丸い目をした、とても小さなネズミでした。
クルトはぐったりしていたので、ネズミを見ただけで返事はしませんでした。
ネズミが話せるはずがありません。
「お兄さんは魔法使いですね。こんなところで、日光浴ですか?」
砂漠のネズミは話ができるのでしょうか。クルトが魔法使いだと、どうしてわかったのでしょうか。
不思議に思ったクルトは聞いてみました。
砂漠のネズミは小さく首を振りました。
「赤の旅人のおかけです。ネズミの中でわたしだけがこうなりました。赤の旅人とはしばらく一緒にいたんです。旅をする間にはぐれたりしなければ、今でも一緒だったかもしれません。赤の旅人にもう一度会えるまで、ただのネズミとして生きてみようと思ったんですよ。でも、寂しいものですよ。わたしだけ話ができても、ほかの仲間たちは理解もできませんからね。人間に話しかけても、わたしが話しているとは少しも気づきません。お兄さんみたいな魔法使いを見つけて、とても嬉しいですよ」
ネズミは『赤の旅人』と言いました。
クルトはどこかで聞いた名前だと思いました。
クルトは、おじいさんの魔法使いから預かった包みを思い出しました。
「それはなんですか?」
ネズミは尋ねましたが、クルトは包みの中に何があるのか知りませんでした。
「食べ物ですか?」
いかにもネズミが思いつきそうなことだとクルトは思いましたが、本当に食べ物かもしれません。
クルトはとても弱っていたので、食べ物を少しぐらいもらってもいいだろうと思いました。
包みを開けてはいけないとは、おじいさんの魔法使いは言っていませんでした。
クルトは包みを開けてみました。
包みのなかには、小さな機械が入っていました。ちかちかと小さな明かりが光っていました。
「それは何ですか?」
クルトは知りませんでした。




