表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/28

赤の旅人のやり方

 クルトの目の前にいたのは、立ち上がった赤いじゅうたんのようなものでした。

 じゅうたんのように見えたのは、厚手のマントでした。真っ赤な厚手のマントで全身を覆っていたので、顔も見ることができませんでした。

 赤いマントから、黒いものが顔を出しました。

 干からびた、細い、骨と皮ばかりの、人の手でした。

 昔は手だったと思われる、黒い塊がクルトに近づいてきました。

 クルトは、近づいてくる手を見ていました。

 ごつごつしているのは、骨の形に皮が張り付いているからだとわかりました。

 手だけではありませんでした。

 手にはたくさんの虫が張り付いていました。

 手をびっしりと覆うように、小さな虫がうごめいていました。

 虫の大群が近づいてきました。

 クルトは虫が嫌いではありませんでしたが、気持ちの悪い虫でした。

 クルトは逃げようとしましたが、体が動きませんでした。

 赤の旅人に、動かないよう命令をされていたのかもしれません。

 動くこともできず、顔を背けることもできず、まばたきもできませんでした。

 クルトは近づいてくる干からびた手と、手にまとわりつく大量の虫を見つめました。

 クルトの頭に、手と虫が乗りました。

 クルトは動くことができませんでした。

 しばらく頭の上に手が乗っていました。

 赤の旅人の手が離れました。赤の旅人はゆっくりと移動しました。

 砂漠の砂で埋められた地面の、さらに人の死体で埋め尽くされた地面を、ゆっくりと移動しました。

 クルトはただ赤の旅人を見ていました。

 ネズミはクルトの隣で赤の旅人を見ていました。

 赤の旅人はクルトに何をして、いま何をしているのか、クルトはネズミに尋ねました。

 ネズミにもわかりませんでした。ただ、

「あれが赤の旅人のやり方です」

 とだけ語りました。

 赤の旅人はゆっくりと移動し、死体が積み重なる地面の真ん中に立ちました。

 赤の旅人が縮みだしました。

 赤の旅人を覆っている赤い衣の背が低くなり、地面につきました。

 赤の旅人は、まるで地面に吸い込まれるように小さくなり、ただ赤い衣だけが、地面に広がっていました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ