旅の再開
クルトがいつものようにラクダの世話をしていると、最近黙っていることが多かったネズミが、クルトの服の中から尋ねました。
「お兄さんは、赤の旅人に会いたくはないですか?」
クルトはラクダに水を飲ませながら考えました。
おじいさんの魔法使いから赤の旅人に渡すようにいわれた包みはもうありません。爆発してしまったのです。クルトも死ぬところでした。赤の旅人に渡すものがありません。
クルトには、赤の旅人に会う理由がありませんでした。
「赤の旅人は魔法使いです。お兄さんも魔法使いなら、色々と教えてくれると思います」
ネズミは丸い目で見つめながらクルトに言いました。クルトは魔法使いです。もう魔法は知っていました。湯気もやもやの魔法は、何度もクルトを助けてくれました。
「魔法は、湯気をもやもやさせるより、もっと色々な使い方があるみたいですよ」
クルトは湯気もやもやの魔法使いです。それ以外の使い方は考えたことがありませんでした。
「それに、赤の旅人に渡すはずの包みがどうして爆発したのか、知りたくないですか?」
クルトは、自分が死にかけた理由を知りたいと思いました。でも、知ってもどうしていいのかわかりません。
「私は赤の旅人に会いたいです。お兄さんが探さないなら、私一人でも探しに行きます」
クルトは少し考えました。話ができるネズミがいなくなっても、今は人間と話ができます。あまり困らないのです。
「明日もう一度聞きます」
ネズミはクルトの服の中で、眠りにつきました。
クルトは、赤の旅人を探すことにしました。




