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冷たくて狭い場所

 クルトは、暗くて冷たい場所で目を覚ましました。

 起き上ろうとすると、背中がとても痛いことに気が付きました。

 ひょっとして死んだのかもしれないとクルトが思っていると、か細い声が聞こえました。

「起きましたか。大変でしたね。誰が一体、爆弾なんかくれたんです?」

 砂漠で会ったネズミの声でした。あたりは真っ暗なので、どこにいるのかわかりません。起き上るにも痛かったので、首を動かすこともできませんでした。

 体がとても痛いことを告げると、ネズミはさも当然のことのように答えます。

「強い爆弾でしたからね。死んでいたかもしれません。私はお兄さんの影になっていたので助かりました。お兄さんは死ななかったのだから、きっと元に戻りますよ。だって、魔法使いですから」

 あたりの暗さに慣れてきたためか、少しずつ何があるのか見えてきました。小さな、とても小さな部屋です。体が痛まなかったとしても、起き上がることもできなかったでしょう。幼いクルトにとってさえ、とても狭い部屋でした。大人の人間は入れないぐらいの狭さです。

 クルトは、自分がどこにいるのかさっぱりわかりませんでした。ネズミに聞いてみました。ネズミは呆れて答えました。

「ここは部屋じゃありません。穴の中です。爆発で倒れているお兄さんは、通りかかった砂漠の人たちに拾われたんですよ。でも、死んでいると間違われて、壺につめられて地面に埋められたんです。私だけなら、地面を掘って逃げられますけど、お兄さんはどうします?」

 クルトは壺の中にいるようでした。暗闇に、少しだけ動くものが見えました。ネズミが顔を出していたのです。ネズミは脱出するために、壺の壁に穴を空け、地面を掘っていたのです。

 ずっと壺の中にいては、そのうちお腹が空いて死んでしまうだろうと思いました。クルトも壺から出ることにしました。

 でも、体が痛かったのです。

 クルトは、怪我をしたことがありませんでした。どうやって治すのかネズミに尋ねました。

「さあ、私にはわかりません。ただ、魔法使いはどんな怪我でも何も使わずに治せるって、赤の旅人から聞いたことがあるだけなんですから」

 赤の旅人も、きっと魔法使いなのだろうとクルトは思いました。

 赤の旅人という言葉をなんだかクルトは懐かしく聞きました。もともと、赤の旅人を探しに旅に出されたのです。赤の旅人に渡すように言われて受け取った包みが、爆発したのです。クルトはもう少しで死ぬところでした。渡したのは、クルトに魔法を教えてくれたおじいさんの魔法使いです。

 クルトは、おじいさんの魔法使いに殺されるところだったのです。


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