女の子になってしまった
その日の朝、目を覚ました僕は、鏡の前で絶句した。
その理由は、鏡に端正な顔立ちをした長髪の女の子が映っていたからだ。
鏡にはその女の子以外は映っていない。どうやら僕は女の子になってしまったようだ。
ああ、そうそう。僕の名前がまだだった。僕は氷川 心。都内の公立高校に通っている。
僕はどうして女の子になってしまったのだろうか、疑問符。
取り敢えず、僕は部屋に戻ってクローゼットを開けた。そこには女物の服がぎっしりと詰まっていた。
着るものには困らないか。
僕は制服に着替えると、鞄を手に一階へ降りた。
「おはよう、心姉ちゃん」
と、弟の浩一が挨拶をしてきた。
姉ちゃん?
「どうしたの、姉ちゃん?」
「え? あ、いや、何でもないよ。それより、昨日まで僕、男だったような気がするんだけど?」
「気のせいだよ、姉ちゃん。姉ちゃんは前から女の子だよ」
そんな馬鹿な。僕は確かに昨日まで男だった。
「そう。じゃ、行ってきます」
僕は家を飛び出し、学校に登校した。
下駄箱で靴を履き替え、教室に向かう。
「おはよう、氷川」
と、声をかけてきたのは、親友の黒沢 達也だった。
「僕、昨日まで男だったよね!?」
「はあ? 何言ってんのお前? お前は最初から女だよ」
黒沢まで……。
僕は席に着いた。
下校時間になり、僕は下校しようとした。
「氷川、待って」
と、黒沢。
「一緒に帰らないか?」
「うん」
僕と黒沢は帰路に就いた。
「氷川、俺お前のこと好きだわ。付き合ってくれない?」
「な、何言ってんの急に!?」
「そ、そうだよな! ごめんな」
交差点に差し掛かる。
「じゃ、また明日」
僕と黒沢は別れた。
家に着き、部屋へと直行し、着替える。
僕は何で女の子になってしまったのだろうか。ベッドに横たわり考える。
…………ダメだ、分からない。