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沈黙する存在  作者: 小島もりたか
3章 侵略
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二話 彼の選択(5)

茜:お姉ちゃん、クラゲが日本に出るようになったら、絶対外に出ちゃダメだよ! 窓もシャッターして、家の奥深くに隠れてね!

淑華:食料もたんまり確保したし、大丈夫だよ!

茜:どれくらい?

淑華:一週間くらい!

茜:少ないよ! 一ヶ月くらい考えないと……。

淑華:もう、保存食とかの非常用品どこも売ってないんよ……。

茜:やっぱり私の家来る? 地下シェルターもあるし……そっちの方が安心する……。

淑華:白龍がいるから大丈夫だよ!


お姉ちゃんの言葉に思わず眉間に皺が寄る。


茜:確実に護って貰える保証はないんだから、使って! 由香里さんに連絡入れておくから!!

淑華:でも……申し訳ないし……

茜:前も言ったけど、クラゲに食われたら、魂も無くなっちゃうんだよ!

淑華:え……

淑華:そんな事言ってたっけ?


ん? と思いメッセージの履歴を遡ってみる。


――言ってなかった……。


私の痛恨のミスである。霊視の師匠には言ったつもり満々でいたが、実際は他のことで伝えそびれていたようだ。


茜:……ごめんなさい。言ってなかった……。

淑華:(爆)

淑華:めちゃくちゃ大事なことやん!(爆)

茜:忙しくて……。

茜:っていうか、捕食時の動画見たら分かるじゃん!

淑華:ねぇ、茜

淑華:一般的な女性って

淑華:人が死ぬ光景の動画って

淑華:直視できないの

淑華:分かりませんかねぇ……


お姉ちゃんの反論に、思わずスマートフォンから視線を逸らした。


淑華:分かりませんかねぇ……?


ご丁寧に追撃をしてくるお姉ちゃんに思わず苦笑いする。


茜:ご……ごめんなさい……。謝意として、私の家使って。保存食も大人三人と子供二人分換算だけど、三ヶ月分貯めてあるから……。

淑華:三ヶ月!

淑華:流石守山家(笑)

茜:前も言ったけど、悟にもOK貰ってるから……。

淑華:分かったよ。有難く間借りさせてもらうね。ちょっと、流石に魂まで食われるのは、怖いから……。


お姉ちゃんのメッセージに安堵の溜息が出た。


「悟、お姉ちゃんやっと家を使ってくれる気になったよ!」

「お、良かった良かった……」

「淑華姉ちゃん強情だったもんね」

「本当だよー」


茜:良かった! なるべく急いで移動してね。中国まで来ちゃったら、もうあっという間だからね。中国もあと数日で侵攻が始まる見込みだし、本当に急いで!

茜:あと、守山家に逃げることは、旦那さんも康生こうせい君も、おじさんもおばさんも誰にも言わないように伝えてね、備蓄はギリギリだから!

淑華:ありがとう。分かった!

茜:今日中、遅くても明日には移動してね!

淑華:分かった!


「ふう、これで心配事が一つ減った……あ、由香里さんに連絡っと……」


慌てて由香里さんにメッセージを送る。由香里さんからの返信は早かった。三分以内に返ってきた。早い。


クラゲの侵略ルートは二つ。

東南アジアを巡っているルートと、中東を巡っているルートだ。

東南アジアルートの行先には中国。そして、中国へ来たのなら、韓国と日本にも来るだろう。

ある程度の高度下なら、偏西風も関係がないからだ。

おそらく、侵攻ルート上、一番最後になるのは南アメリカ、もしくはオーストラリアだろう。

もしかしたら、東南アジアルートは中国を最後に分隊するかもしれない。


侵攻が進んでかなりのことが判明された。

その内のひとつが、クラゲは何度か捕食をすると分裂することだ。

つまり、クラゲは現在、侵攻を進めつつもその個体数をどんどん増やしている。

恐ろしいことに、クラゲはインド侵攻から爆発的に数を増やした。ミライの推測だと、五人の捕食で分裂している。

つまり現在は、最初の30万体から総数でいうと1000万体は軽く超えている目算である。初めて聞いた時の感想は「終わってない?」と一言につきた。実際、終わってると思う。終末だよ、終末!!


「いや、本当に危なかった……まだ、本当に移動してくれるまで安心できないけど」

「家に避難してもらっても怪しいレベルだけどね……」

「そうね……予想だと日本に来るのは100~500万だもんね……」

「希望があるとすれば、都内みたいに人口密集地じゃないってところだね」

「そう。本当にアイツらの目的が地球制服じゃなくて良かった」


クラゲ達の目的が地球征服なら、デリーや他の既に侵攻された都市の被害はこんなものではなかっただろう。


「お陰で、僕達の生存確率が上がるね」

「でもデリー侵略より遥かに多い個体数だからそこは大きな不安要素だね」


お姉ちゃんを説得した安心感が一気に失われていく。

近くにあった水晶のパワーストーンを慌てて掴んで改めて願いをかける。


最近は毎日パワーストーン三つに願いを込める習慣ができていた。


パワーストーンの光が消えた所で一息つくと、ミライが苦笑いしていた。


「本当に、それ、この島の研究者に見られないようにね?」


ミライに指摘されて思い至る。


――これなら、遠距離でも効果があるか試せるんじゃない……?

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