第六話 オーディションの続き
第六話 オーディションの続き
シンデレラは王子と共に舞踏会で踊ります。然しそこに意地悪 なオ カマが現 れてさー大変!
「いい、恋人同士というのは台詞で教えてくれます。ブワァッ ト然し二人が ステージに上がり、スポットを浴びる。そしてお 客さまの目に 入った瞬間に はもう、恋人同士になっていなけれ ばならないの」
「「ハイ」」
マリリンの言葉に二人は答えた
「二人の存在を恋人と表す、台詞以上の説明。それが何なのか わかります か?」
「いいえ」 馬面高司は目を丸くし答えた
「メニコンです」
「「メニ・こん・・ですか?」」
馬面とヨウチャンは、息を会わせたかの様に答え、首を傾げた
「そうメニコンよ、すなわちアイコンタクとレンズ。空気を通 すの」
「?はーぁ」
「さぁ二人ともここにお掛けなさい」
「「はい」」
二人は言われるままイスに座った
「いいですか、これではただのむかえ合っているだけの二人で す。ミ スター 斎藤そしてミス藤本、目をつぶり思い出すのです。相手とどんな風に出会 い、何を語らい、なにを思い、どん な時間を過ごしてきたのか。二人が送っ て来た恋の軌跡を声を 出して確かめ合うのです。そして今、目を開ければ目 の前にい る相手が自分にとって何なのか。そこからです」
二人とも目をつぶったまま苦しそうに考え事をしていたが、そ こは やっぱり 我らがヨウちゃんが切り出した
「私は春、いつもと同じ場所、そしていつもと同じ時間にいる 彼を見てい た」
「僕はいつものように、帰る途中の乗り換え場で、春彼女の横 に座った。そ してMDの取り方に困っている彼女に、教えてあ げた」
「ごく単純な単語のやり取りで、その日私は電車を下りた。そ して次の日二 人は同じ時間、同じホームの上にた立っていた」
「僕は彼女に気付く軽く会釈した、次の日も、次の日も...」
「夏の暑い日、彼は来なかった、次の日も、次の日も...」
「里帰りし、僕は余ったお土産と一緒にホームの上にいた」
「私は彼を見つけると、何故か駆け足で近づき話を聞いた。彼 がなぜ数日来 なかったのか知りたかった」
「僕は彼女にあまりの土産を渡すと里のことを話した。話が夢 中に なり、つ い彼女の駅を通り越してしまった」
「私は、彼の事をもっと知りたかった。だから」
「戻りの電車を待つ間話をした、電車が一本、又一本と流れて 行く…最後の 電車が止まった」
「時間はあっという間に過ぎていったらしい。私はすぐに彼の 携帯にかけ続 きの話をした」
「僕は、それから駅を四つ歩いて帰る事が多くなった。そして 東京に来てか ら時計になっていた携帯が、その役目を果たして きた」
「彼はお寺や神社、信長とか坂本竜馬とかそういう歴史的な事 柄が好きで」
「彼女はテニスにスキー、スポーツを挙げたらなんでもこいっ て言ってい た」
「私達に共通なところなど何一つ無かった」
「ただ時間が二人を引き付け合わせていった」
「並木道がイルミネーションで飾られ、何処に行ってもクリス マス ソングが 流れている」
「最終の電車に乗り遅れた二人は、街灯で輝くスポットライト の 中...初めて 触れ合った」
二人は目を開け、お芝居を始める
「スーミちゃん」
「何?」
「愛してる」
「・・うん、愛してる」
「じゃさじゃさ今夜・・・」
電話の呼び鈴
「ハイ桂木です...すみ子ですか?ハァーいますが...すみチャン斎 藤って男の 人」
「っえ、あーバイト先のマネージャー」
「フーン」
「ハイ鈴木です、エッ来週ですか?来週はちょっと・・・」
電話を気にしながら新聞を読んでいると、ある一覧に目が止ま る
「スミちゃん、スミちゃん。 宝くじは?」
「宝くじ?あっテレビの上」
テレビの上の宝くじを取り、新聞と照らし合わせる
「違う・・・これも、これも、うん?すみちゃん、スミちゃん」
「えーですから...あっすいません、今料理の途中なんでその件は 今度、で は」 電話を切り椅子に座る 「何、当たったの?」
「いや、違ってた」
「なーんだ」
「アーァ番号は合ってたんだけど組が違ってた」
「 エッ、何等と番号が一緒だったの」 「一等だよ一等、一億二千万だぜ!一億二千万!・・・当たってればな」
「ひょっとしたら」
宝くじを取り上げ新聞を読む
「あった、組み違い賞」
「くみちがいしょう?」
「一千万円だって」
「いっ一千万!?」
新聞を見入る
「本当だ、組み違い賞。一、十、百、千、万、十万、百万、 ?百万だよそれ」
「うん?でも当たってるじゃない。嬉しーこれ私のね」
「エッ、まっ待ってよスミちゃん。それ僕のだよ」
「私が買ったのよ」
「でもすみちゃんあの時、お金が無くて僕のお財布から半ば強 引に取り上げて…だからその宝くじは、僕のお金で買ったの」
「でも買おうって言わなきゃ、そのままこの宝くじは誰かの手 に行っ てた訳 でしょ。そして女の感って言うか、私のあまりの 美貌にこ の宝くじの方から 声をかけて来たのよ」
「意見あり!」
「なんですか、一矢検事」
「すみ子弁護士、ここは公正明快に折半が望ましいと思われま す」
「わかりました一矢検事。それは、 み・と・め・ま・せん」 「では実力行使あるのみです」
じゃれあう二人、宝くじが床に落ちる 二人の手と手が宝くじの 上で重なると、 大事に二人の手で宝くじを掲げる
「スミちゃんこれで車買わない?」
「そうね、そうしたら色んな所行きたいわね。海とか山とか」
「うん。京都とかもいいよ」
「でも明日ね決めるのは、今はもうかえられないし」
「うん、そうだね」
「ねぇカズくん、私の事愛してる?」
「もちろん、愛してる」
見つめあい抱き合う二人
「ん~オーケ~イ!!」 このオーディションで始めてのOKが出た
ヨウちゃんは馬面に抱きついたまま、肩を震わせていた




