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草の思い  作者: RYUのお話


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第十二話 エンゲル係数と私

照明がつき丸いイタリア調のテーブルに向かい合う二人


「すーみチャン」


「何?」


「愛してる」


「... うん、愛してる」


「じゃさじゃさ今夜...」


子供ぽい仕草に優しく見守る そして効果音


「ハイ桂木ですが…すみ子ですか?ハァーいますが…すみチャン 斎 藤って男の人」


ぶっきらぼうに受話器を渡す


「っえ、 あーバイト先のマネージャー」

「フーン」


そう言うと小刻みに首を何度も横に振り、 ウンウンて頷いて振 り返り一歩進むと又首を横に振り…確認 そわそわしながらテー ブルに向かう 台本にあるト書き

どう見てもそれじゃミスタービーンだちゅうの

うざすぎ


「はい鈴木です。来週ですか?来週はちょっと…」


台詞はここまで後は何時もアドリブ、毎回かえる そしてその都 度ちゃんと一矢はリアクションして応える そして新聞、バサバサ音立ててじっくり眺めて


「逆か」


静かな客席 すべってるじゃない だから舞台でそんな細かい芸しても、分かるわけ無いでしょ

ったく一緒にいる純子まで被害被ってるし


「すみちゃん、すみちゃん。宝くじは?」


「宝くじ?あっテレビの上」


どこから持ってきたか昭和の緑の14インチテレビ 宝くじはテレビの上にある家庭内アンテナの下 一矢は宝くじを取ると新聞と照らし合わせる


「違う・...これも、これも、うん?すみちゃん、すみちゃん」


「えーですから...あっすいません、今料理の途中なんでその 件 は今度、では」


電話を切り一矢に歩み寄る純子 ここからが純子の見せどころ


「何、当たったの?」


「いや、違ってた」


「なーんだ」


「アーァ番号は合ってたんだけど組が違ってた」


宝くじを取り挙げ純子は舞台全体を動き回る


「エッ、何等と番号が一緒だったの」

「一等だよ一等、一億二千万だぜ一億二千万...当たってればな」


新聞も取り上げテーブルをぐるぐる回る


「本当だ、番号合ってるじゃない」


純子は一矢に後ろから抱きつき頬を合わせる こういった大胆さは男には出来ない、女の特権なのだ


「だ、だろ」


振り向けない…チューしちゃうもんね


「でも」


「でも?」


「組違い賞ってあるんじゃない…ほらあった組み違い賞」


「くみちがいしょう?」


「一千万円だって」


「いっ一千万!?」


純子は新聞をテーブルに置くと舞台中央に立ち宝くじを両手で もって頭を傾け微笑む


「本当だ、組み違い賞。一、十、百、千、万、十万、百万…百万 だよそれ」


「うん?…百万?でも当たってるのよねー。嬉しーこれ私のね」


ここからがいいんだよね二人とも


「エッ、まっ待ってよすみちゃん。それ僕のだよ」


「違うわよ、私が買ったのよ」


「でもすみちゃんあの時、お金が無くて僕のお財布から半ば強 引にお札三枚枚取り上げて…だからその宝くじは僕のお金で買っ たの」


「でも買おうって言わなきゃそのままこの宝くじは誰かの手に 行ってたわけでしょ。そしてこの宝くじは女の感って言うか、 私 のあまりの美貌にこの宝くじの方から声をかけて来たのよ」


「意見あり」

「なんですか一矢検事」


「すみ子弁護士、ここは公正明快に折半が望ましいと思われま す」


「わかりました一矢検事。それは、み・と・め・ま・せん」


「では実力行使あるのみです」


じゃれあう二人、宝くじが床に落ちる 二人の手と手が宝くじの上で重なる

大事に二人の手で宝くじを掲げる


「すみちゃんこれで車買うよ」


「そうね、 そうしたら色んな所行きたいわね。海とか山とか」


「うん。京都とかもいいよ」


「でも明日ね決めるのは、今はもう遅いし」


「うん、そうだね」


「ねぇカズくん、私の事愛してる?」


「もちろん、愛してる」


見つめあい抱き合う二人



暗転


カーテンコール 拍手が鳴り響く中、壇上に上がり純子に花束を渡 す


「ヨウチャン」


「よかったよ、おケイ」


みててくれたんだ がんばったよ…わたし


「高司も」


斎藤高司とヨウチャンは見つめ合う


「あーらミス藤本体大丈夫なの?この子田中恵子さん、ここの 劇場の偉い人が紹介してくれたの」

「とてもすばらしい演技でした」


「有り難う御座います。お体が宜しければ明日からはお願いし ま す」


「え?」


「ミス藤本もう大丈夫なんでしょ、さぁ最後のダンスよ出来る わね」


「あっはい」

「いくわよミュージックスタート」


目を丸くしてキョロキョロしてるヨウチャン マリリン強烈だからね


「ヨウチャン踊ろう」


「うん」


五人の若者はここに再び募った 七色に変わる舞台 やっぱりヨウチャンには適わない


私はヨウチャンの笑顔が一番好き







昔ひとの心に


言葉ひとつうまれて


伝えてね


草の思い


風にこの手かざして


見えない森訪ねて


あなたの唄を探して


かくれんぼ


わたしの足音を聞いてね


確かな眉を見てね


そしていまは


言わないで


ひとり砂に眠れば


ふたり露に夢見て


よろこびとかなしみの


花の宴




時は移ろいゆきて


ものはみな失われ


朧に浮かぶ影は


ひとの想い


いまは遠い心に


寂しく憧れ来て


あなたの夢にはぐれて


かくれんぼ


わたしの唄声を聴いてね


遙かな笑顔見てね


そしていまは


抱きしめて


時は移ろいゆきて


ものはみな失われ


朧に浮かぶ影は


草の想い



ひとり砂に生まれて


ふたり露に暮らせば


よろこびとかなしもの


花の形見






終わり

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