HKOにおけるΣ7評議会とは
付録文書①
「HKOにおけるΣ7評議会とは何か」
文書識別番号:HKO-REF-01
文書名:Σ7評議会とは
分類:内部参考資料/極秘
閲覧権限:Σ7以上
改竄検知:有
■出席委員一覧(簡易)
• Σ7-1:議長。冷静沈着、合理性重視
• Σ7-2:リスク管理担当。慎重派
• Σ7-3:技術・観測担当。データ重視
• Σ7-4:戦略・防衛担当。先制策推奨
• Σ7-5:倫理・規範担当。人道重視
• Σ7-6:情報分析担当。観測ログ読み取りに長ける
• Σ7-7:外部干渉担当。異常存在の影響評価
• Σ7-8:歴史・文献担当。過去周期の比較担当
• Σ7-9:社会構造担当。文明進化予測
• Σ7-10:予算・資源担当。運用効率管理
• Σ7-11:危機対応担当。異常事態即応
• Σ7-12:心理・群衆担当。民意と集団心理
• Σ7-13:最終承認・投票担当。決定権保持
■ 概要
Σ7評議会とは、
HKO(人類観測機構)における最高意思決定機関であり、
各管理世界・各文明周期に対する
「観測」「介入」「放置」「破棄」の判断権限を持つ。
HK-015──通称《箱庭》は、
Σ7メンバーが長期にわたり観測対象として指定してきた世界群の一つである。
本会議記録は、
第十五周期文明が発生した直後に行われたものであり、
後に「分岐点」として再評価されることになる。
■ 会議ログ(再構成・正式版)
会議名:Σ7常任評議会
議題:HK-015/第十五周期生命文化の発生と監視方針
記録区分:非公開・高度機密
出席:Σ7-1 ~ Σ7-13(全員)
冷たい空調音だけが、会議室を満たしていた。
円卓の中央に投影されたのは、
HK-015第十五周期文明の初期観測データ。
都市、人口増加曲線、因果安定率。
だが、いくつかの数値だけが、明らかに歪んでいる。
Σ7-1(議長)
「……確認する。
HK-015において、第十五回目の文明周期が正式に開始された」
誰も驚かない。
この世界は、十四回、同じ結末を辿ってきた。
Σ7-3(技術・観測)
「異常値を報告する。
観測耐性を示す個体が、複数確認された」
スクリーンが切り替わる。
少年、少女、そして冥界系と分類された存在。
Σ7-6(情報分析)
「ログの欠落も確認されています。
物理破壊ではなく、因果の縫合が外れた痕跡です」
Σ7-2(リスク管理)
「周期初期でこの状態は異例だ。
放置すれば、因果逸脱は指数関数的に拡大する」
Σ7-8(歴史・文献)
「過去十四周期には、
この段階で観測耐性個体は存在しなかった」
沈黙が落ちる。
Σ7-7(外部干渉)
「さらに報告がある。
未知の影、形態不定、物理量ゼロ。
周期外存在である可能性が高い」
Σ7-4(戦略・防衛)
「敵性か?」
Σ7-7
「不明。ただし、撤退行動を確認。
こちらを観測している可能性がある」
その言葉が、会議室の空気を変えた。
Σ7-5(倫理)
「我々が介入すれば、
この文明は実験失敗として破棄される」
Σ7-11(危機対応)
「だが、介入しなければ、
文明全体が不確定因果に巻き込まれる」
Σ7-9(社会構造)
「第十五周期は、自己修復能力を持つ可能性がある。
文明が、初めて抗おうとしている」
■ 判断整理
Σ7-1は、静かに結論案を提示した。
対応案:
1.非干渉を維持し、観測強化
2.局所的異常への限定封鎖
3.周期リセット(最終手段)
Σ7-13(最終承認)
「現時点で、3は棄却する。
文明は、まだ生きている」
異論はなかった。
■ 会議総括(自動生成ログ)
HK-015 第十五周期文明は、
過去周期と比較して未知性が高い。
観測耐性個体、周期外存在、因果欠落の同時発生を確認。
Σ7は直接介入を行わず、
文明内部個体の自律的選択に委ねることを決定した。
■ 付記(非公式・小説的補足)
会議室の高窓から見える外界は、変わらず静かであった。
だが、誰もが知っていた。
この文明は、もう予定通りには終わらない。
Σ7は神ではない。
ただの観測者だ。
そして。
観測される側が、観測者を意識し始めた時、
世界は必ず、別の形を選ぶ。
【内部文書参照番号:HK0-015/Σ7-Archive】
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