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全地球規模異常災害記録(Σ7事案)

HKO-Σ7-IR/████


全地球規模異常災害記録


事案コード:Σ7《情動起因型・神性災害》



■ 概要


本記録は、事案Σ7発生後に観測・回収された

全地球規模環境破壊および文明崩壊現象についての

HKO正式統合ログである。


本災害は、既存の自然災害・兵器・天体衝突モデルの

いずれにも該当しない。


HKOは本事象を以下の通り再定義する。


「触れられた神性存在による、非意図的情動放出に起因する現実破壊」



■ Σ7-ENV:環境変動ログ(統合)

•昼夜周期:消失

•全球平均気温:測定不能

•局所温度変動:-200℃〜+600℃(同時発生)

•重力定数:地域ごとに変動(±0.7G〜±4.3G)

•大気:燃焼・凍結・腐食状態が並存

•海洋:海面隆起現象を確認(最大高度:推定4,000m)


注記:

本現象は津波・地震・火山活動の拡張ではない。

地殻運動は「破壊」ではなく、再配置に近い挙動を示す。



■ 都市消失ログ

•全世界都市の約48〜52%が

構造物・地形・座標ごと消失

•崩壊痕跡を残さず、

次の瞬間に巨大クレーターまたは空白域へ置換


HKO内部呼称:

「地形欠落(Topographical Null)」



■ 衛星観測ログ(抜粋)


【時刻】UTC ████

【観測対象】大陸級地形


複数の観測衛星が同時にブラックアウト。

最終フレームには、雲海の向こう側で

大陸一つが沈み込む瞬間が記録されていた。


分析結果:

爆発・圧壊・沈没では説明不能。

「そこにあった地形が、存在を終了した」と判断。



■ 物理法則異常ログ

•局所的に物理定数が破綻

•重力方向が一定でない

•音速・時間進行が地域ごとに乖離


被害例:

•上方向へ落下する人間

•横方向に圧縮される建築物

•時間が引き延ばされ、

倒れる途中のまま停止した生存者


注記:

悲鳴は途中で途切れる。

音が意味を保持できないため。



■ Σ7-CTL:災害制御試行ログ(追補)


HKOは事案Σ7発生後、

既存の全災害制御プロトコルを段階的に実行した。

•軌道兵器:効果なし

•位相安定フィールド:展開不可

•神性干渉遮断コード:未反応

•因果逆転処理:起動前に破綻


全ての試行は、

「対象が現象ではない」という一点で失敗している。


本事象は、災害でも敵性存在でもない。


怒り、恐怖、混乱といった

情動そのものが物理化している状態であるため、

抑制・交渉・破壊のいずれも成立しなかった。


HKO内部評価:


「これは止める対象ではない。

世界が、巻き込まれているだけだ」



■ 観測者注記


本ログ作成時点においても、

災害は進行中である。


だが、各観測データには

共通する兆候が確認されている。


破壊の規模は、

指数関数的増加を停止している。


理由は不明。


神性存在が疲弊しているのか、

あるいは──

誰かの行為が、影響を与えたのか。


現時点で断定はできない。


HKOは、このわずかな変化を

「唯一の希望」として記録する。



■ HKO-IR-HUM:生存者証言ログ(統合)


【分類】一次証言

【取得】自動回収音声/意識断片

【照合率】87.2%


 最初に壊れたのは、空でした。

 青でも夜でもなくなったんです。


 燃えて、凍って、割れていました。


 都市は、崩れたんじゃない。

 消えました。


 そこにあったものが、

「なかったこと」になった感じです。


 誰かが言いました。

「……神の怒りだ」


 否定できませんでした。

 理由が、なかったからです。


HKO注記:

本証言群は地域・文化・言語を超えて

同一の表現構造を示す。



■ 被害推定

•世界人口:約50%消失

•正確な数値:算出不能

•国家・文明単位での欠落を確認


HKO判断:

本事象は戦争ではない。

侵略・裁定・報復にも該当しない。



■ 総合評価


事案Σ7は、


神性存在の感情が、

そのまま世界に干渉した結果


である。


意図は確認されていない。

制御も確認されていない。



■ 最終注記


まだ世界は完全には滅びていない。

そのため、地獄が継続している。


復旧可能性:

「元に戻る」という選択肢のみ、消失。



(本記録は、次項

《対象:ルシフェル/反応ログ》に接続される)



 空域の中心。


 ルシフェルは、立っていた。


 怒りはある。

 力もある。


 だが。


 世界は、以前ほど従わない。


 裁定を下せば、

 結果が遅れる。


 ほんの、わずか。


 それが、致命的であった。



 彼は、自分の胸元を見る。


 傷はない。

 欠損もない。


 それでも、確かに、

 触れられた記憶が残っている。



 沈黙。


 怒りは、まだ消えない。


 だが、

 怒りだけで世界を壊し続けることは、

 もうできない。



 遠くで、世界が縮む。


 彼は、それを見ている。


 止めもせず、

 裁きもせず。


 ただ、

 沈黙している。



 神は、まだ負けていない。


 だが。


 無敵ではなくなった。



※以上は、

事案発生後72時間以内に回収された

観測ログ・生存者証言・衛星記録を統合したものである。


なお、本記録は未確定情報を含む。


本編事案との対応関係については、

以下の内部リンクを参照のこと。



※参照:本編 第61話「神を殴る者」

【内部文書参照番号:HKO-015/Σ7-Archive】


お読みいただき、ありがとうございました。

続きが気になった方は、

そっと本棚ブクマに置いてもらえたら励みになります。

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