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内部仕様書:緊急プロトコル《KRONOS》

【緊急プロトコル指定書】


文書番号:Σ7-KRN-Ω

通称:緊急プロトコル《KRONOS》

機密区分:最上位(Σ7-ALL、BLACK-Ω)

閲覧権限:Σ7構成員のみ

発動権限:Σ7全会一致、または議長単独緊急代行

正式分類:世界再定義・時間基盤再構築手順



■ 概要


緊急プロトコル《KRONOS》とは、

世界が「物語として破綻する」直前段階においてのみ使用が許可される、

最終的かつ不可逆的な世界再構築手順である。


本プロトコルは

•神話存在

•高次概念生命

•観測不能オブジェクト

•物語的因果連鎖


を「排除」するものではない。


代わりに、

それらが成立する前提そのものを解体し、

世界を“語り直す余地が存在しない状態”へ再配置する。



■ 発動条件

(いずれかを満たした場合、自動審議フェーズに移行)

1.大規模神話存在による現世全面浸出率が95%を超過

2.抑止オブジェクト(OBJECT-JULIAN)の抑止効率が臨界点を下回った場合、機能喪失が不可避と判断(不可逆的破損)

3.世界が「観測され続けること」自体により崩壊へ向かう段階に突入(「意味飽和」発生)

4.Σ7観測網において

「未来予測が全て破滅に収束」する事象分岐を確認

※KRONOSは、

 現行世界を「失敗した物語」として破棄し、

 神話発生以前の状態へ再構築するための最終手段である。


本プロトコルは以下を保証する:

•地球環境の再生成

•人類種の再配置

•技術史の再現(微調整あり)


以下は保証されない:

•個人の記憶

•英雄の存在

•神話的干渉の痕跡

•現在進行中の“物語”



■ 目的


KRONOSは、

世界を救済しない。


KRONOSは、

世界を「なかったこと」にする。


本プロトコルの目的は、

神・悪魔・英雄・物語を含む

現行世界線そのものの無効化である。



■ 基本理念


•世界は「続いている限り」、神話を呼び込む。

•観測される限り、神は物語になる。

•物語になる限り、再び顕現する。


ゆえにKRONOSは、

世界の継続性そのものを断ち切る。



■ 実行内容(要約)


KRONOS発動時、以下が同時進行で行われる。

1.時間基盤の切断

•現在世界線を「履歴」として固定

•未来方向への因果連鎖を遮断

2.意味層の初期化

•神話・宗教・英雄譚・象徴概念を全削除

•「神」という語が成立しない状態へ巻き戻す。

3.人類史の再生成

•個体は保存されない。

•文明も保存されない。

•記憶は一切継承されない。

4.神話的存在の再配置

•全神話存在を

「未定義領域(Outside)」へ強制隔離

•再侵入不可



■ 処理内容(要約)


プロトコル《KRONOS》は、以下を同時に実行する。

•世界の時間的連続性を切断

•因果律の再初期化

•神話・英雄・終末といった

“意味を過剰に持つ存在”の成立条件を消去。

•観測者の記憶を含む。

全歴史の再編成


重要事項として、

現行世界は「保存」されない。


KRONOSは世界を「修復」しない。

世界を“失敗作として廃棄”し、新たな世界を生成する。



■ 副作用・代償

•発動後、以下は存在しなかったものとして扱われる。

•神話存在の記録。

•英雄・悪魔・神に関する因果。

•KRONOS発動に至るまでの全出来事。

•Σ7構成員を含む全個体は新世界に再配置される。

•ただし人格・記憶の完全保持は保証されない。

•観測者としての自我が失われる可能性:極めて高い。

•抑止オブジェクト《JULIAN》は

 発動と同時に完全消失する。



■ 成功確率


理論成功確率:3.1%


注記:

この数値は「世界が再起動する確率」ではない。

“意味を持たないまま、世界が存続する確率”である。


残り 96.9% は以下に分類される:

•世界の即時消滅。

•意味なき連続崩壊。

•神話存在の変質・逆流。

•観測者のみが取り残される事象。



■ 重要注意事項


KRONOS発動後、

•神

•悪魔

•覚醒者

•観測者

•抑止者(JULIAN含む)


これらは全て「発生しなかったもの」として扱われる。


記録は残る。

存在は残らない。



■ 重要補足


KRONOS後の世界は、

救われた世界ではない。

•救われた人間はいない。

•戦った英雄はいない。

•犠牲になった者も、存在しなかったことになる。


“誰も勝っていない世界”が、生成される。



■ 倫理条項(抜粋)


KRONOSは勝利ではない。

敗北の管理である。


英雄が現れなかった世界を

「正常」と定義することに

我々は耐えられるか。



■ オブジェクト《JULIAN》との関係


KRONOSは、

オブジェクトJULIANの存在を前提に設計されていない。


JULIANは

「世界を止める楔」であり、

KRONOSは

「世界を折る刃」である。


KRONOS発動時、

オブジェクトJULIANは以下のいずれかとなる:

•世界線消失に伴い、完全消滅

•Outside側へ転送(観測不能)


復元不可。



■ 倫理審査記録(抜粋)


「これは敗北宣言ではないのか?」


→ 回答:

敗北です。

だが、人類が選べる最後の敗北です。


——


「英雄たちの戦いは、無意味になるのでは?」


→ 回答:

最初から意味はありません。

意味がある限り、神話は戻る。


——


「KRONOSは人類抹殺では?」


→ 回答:

抹殺ではありません。

“最初から居なかった”のです。


——


Σ7-4 注記(私見)


KRONOSは武器ではない。

選択でもない。


これは、

逃げ場がなくなった世界が、

最後に選ぶ沈黙だ。



■ 警告


KRONOSは一度きりであり、

再発動は不可能。

やり直しも存在しない。


発動後、

この世界を覚えている者は、誰もいない。



■ 最終行(仕様書末尾)


「それでも発動するなら、

我々は“神より重い罪”を背負う」



【内部文書参照番号:HKO-015/Σ7-Archive】

※本項目について、Σ7内部で意見は分裂している。


お読みいただき、ありがとうございました。

続きが気になった方は、

そっと本棚ブクマに置いてもらえたら励みになります。

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