HKO-6666《簡易報告書》
超常存在報告書(特別収容報告書)
HKO-6666 —《静的神格》
オブジェクト番号: HKO-6666
暫定通称: 《静的神格》
旧称/俗称: ジュリアン(転移前人間名)
オブジェクトクラス: Apollyon/Thaumiel(条件付き併存)
管轄機関: HKO統合管理局
監査部門: Σ7監査課
文書区分: 内部閲覧限定(Σ7権限以上)
作成者: 観測官補佐《MNEMOSYNE》
備考: HKO-6666は収容不能であるが、同時に「他の神性侵入事象を抑止している」ため、条件付きでThaumiel指定がなされています。その特異性から、最重要監視対象としてレベル5セキュリティプロトコルが適用されます。
※注記:
HKO-6666発生以降、神話的終末シナリオの発生率は0.0003%まで低下している。
ただし、人類存続確率は上昇していない。
■ 特別収容手順
HKO-6666は、収容・隔離・無力化のいずれも不可能である。
代替措置として、以下を厳守すること。
1.HKO-6666への直接的観測・接触・神話的参照を禁止。
2.HKO-6666を「神」「守護者」「味方」と明示的に定義しない。
3.箱庭アプリ、Σ7、ならびに現世観測AIは
HKO-6666を“例外処理対象”として扱うこと。
警告:
HKO-6666を「理解しようとする行為」そのものが
人格・時間感覚・世界認識の不可逆変質を引き起こす。違反事例の大半は、報告書として残らない。
■ 説明
HKO-6666は、
人間ジュリアン(旧箱庭管理責任者)が
神性現世浸出事象発生後、
自発的と判断されている神格側転移の結果、成立した存在である。
HKO-6666は以下の特徴を持つ:
•固定された肉体を持たない。
•明確な意思疎通は不可能。
•しかし世界構造に対して恒常的な影響を及ぼしている。
•特定条件下でのみ「人格の残滓」が観測される。
現在、HKO-6666は
「神話と現実の境界そのもの」として振る舞っている。
■ 観測特性
•HKO-6666の影響範囲内では
神話存在の即時完全受肉が阻害される。
•代わりに、神性は
不完全・段階的・条件付きでのみ現世に定着する。
•これにより、人類文明は即時崩壊を免れている。
注意:
これは「人類を守っている」のではない。
人類を“延命素材として温存している”状態である。
その判断基準は、人類側からは一切参照できない。
■ 神格モデル仮説
HKO-6666は以下の神格概念と高い類似性を示す:
•無限を支える蛇
•世界を載せる床
•動かぬ神
•意志を持たない防壁
•宇宙的な「待ち」
•判断のみを行う存在
ただし、完全一致する神話モデルは存在しない。
■ 付記:人格残留ログ(抜粋)
観測ログ 6666-A
……これは、思っていたより静かだな。
音も、祈りも、歓声もない。
だが、世界が重い。
神になる、というより、
世界の「重さ」を引き受ける感じか。
⸻
観測ログ 6666-C
人間だった頃の私は、
神を制御できると思っていた。
今は分かる。
神とは制御されるものではない。
ただ、置かれる。
⸻
観測ログ 6666-F(最終人格反応)
もし誰かがこのログを読むなら、
一つだけ言っておく。
私は人類の味方ではない。
だが、
Lucifer_の対となり得る。
(以降、人格反応なし)
■ 危険性評価
HKO-6666は以下の点で極めて危険:
•人類倫理・価値観を一切考慮しない。
•必要と判断すれば
都市規模・文明単位の“意味的切断”を行う。
(例:歴史、神話、概念の連続性そのものを断つ)
•「救済」「犠牲」「淘汰」の区別が存在しない。
■ 評価:
HKO-6666は
人類のために存在している神ではない。
だが、人類が滅びるにはまだ早いと判断している神である。
■ 追記:HKO-6666への干渉試行
試行6666-Ω
HKO-6666に対し、
「人類の守護を要請する神話的儀式」を実施。
■ 結果:
•儀式参加者全員が
「守られる価値があるか」を問われる幻覚を体験。
•7名が自発的に儀式から離脱。
•2名が精神崩壊。
•1名が「自分は守られなくていい」と発言し消失。
HKO-6666からの応答は、ただ一行。
選別は、始まっている。
■ 結論
HKO-6666は、
•神話侵食を止める最後の防波堤であり
•同時に、人類を試す無機質な神であり
•Lucifer_完全受肉を遅延させる唯一の存在
である。
だが、
HKO-6666が動かなくなった時、
世界は即座に、
人類が選ばない“次の神話”へ移行する。
【内部文書参照番号:HK0-015/Σ7-Archive】
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